あふぅの農業体験

P「じゃ、頑張って来いよー美希」

美希「任せるのー、ほらあふぅ行くよ」

あふぅ「ナーの!」

小鳥「気を付けてねー」

美希とあふぅ、テレビ番組の企画で東北の米農家の下で田植え体験をすることになりました。
楽しみですね。


新幹線にて

美希「あと一時間半だよあふぅ」

あふぅ「ナノっ!」モグモグモグ

美希とあふぅは新幹線でお弁当を食べています。
あふぅはもちろん大好きな鮭おにぎり。

美希「食べ終わった?じゃお昼寝するの」

あふぅ「あふぅ・・・zzz」

言われる前から寝てますが。


数時間後 秋田県某所

美希「着いたの!」

あふぅ「なの!」

テレビ番組スタッフ「あ!星井さーんこっちですー!」

美希「はーい!よろしくお願いしますなのー!」

スタッフ「じゃ車に乗ってください、ここから三十分ぐらいで農家さんのところですんで」

美希「はーい!(さすが田舎、車の移動は疲れるの・・・)」

あふぅ「ナァ?」

美希「ごめんねあふぅ、もうちょっとで着くの、我慢してね」

あふぅ「ナノ・・・」

昼寝したとはいえ、さすがに長時間の移動は疲れるみたい。


約三十分後

美希「うわー、ホントに田んぼしかないのー」

スタッフ「あ、あちらのおじいさんが農家さんです」

農家「ん?あんだがうちの田んぼさ手伝うんか?できるんか?」

美希「はい!今日は一日よろしくお願いしますなの!(こわそ~なの・・・)」

農家「・・・ま、せいぜい気張れや、ねえちゃん。
んじゃ、さっそく着替えな」

スタッフ「美希さん、じゃあ車の中で作業服に着替えてもらえますか?
あと帽子とタオルも忘れずにお願いしますね、紫外線すごいんで」

美希「はい!(こりゃ大変なの・・・)」



美希「・・・ふーっ、やっと着替え終わったの・・・。
あふぅ?準備できた?」

あふぅ「ナノ・・・ナノ・・・」ヌギヌギ ジタバタ

おっとあふぅ、小鳥さんたちが用意してくれたぷちサイズの作業服を脱ぎ着するのに手間取ってます。

美希「ほらー、早くしないと怒られちゃうの」ヌギヌギ

あふぅ「ヤー!ナノーッ!!><」

美希が手を貸しますが、あふぅは嫌がります。
もともと服を脱ぐのが嫌なのです。
それでも結局、服を全部脱がされてしまいました。

美希「ワガママはダメなの」

あふぅ「なぁー!!・・・ナァ・・・;;」

美希「もー、言うこと聞かないとハダカでやらせるよ?」

丸裸になったあふぅ、髪で体を隠しています。
それを払いのけ、作業服を着せました。

美希「準備完了なの!」

あふぅ「・・・」

あふぅ、ご機嫌ななめです。
ちゃんと手伝えるかな?


農家「じゃ、あんだはそこの区画さやっちくれ」

美希たちが手伝うことになったのは、田んぼの隅の部分です。
一見大したことなさそうに見えますが、大丈夫でしょうか。

美希「了解しましたなの!」

スタッフ「よーし、カメラまわせー!3、2、1、アクション!」

さっそく田植えが始まります。
全部手作業、結構大変そうです。
辛うじて曇り空で涼しいのが救いでしょうか。

美希(う~、しゃがんでても結構きついの~・・・)

何本か苗を植えたところ。
顔には出さないようにしますが、内心はやはり大変みたいです。

あふぅ「なの!ナノっ!!」バシャバシャ

おっとあふぅ、既に遊び始めました。
カエルを追っかけているみたい。すでに体は泥だらけです。

美希「あふぅ!ちゃんと手伝わないと・・・」

あふぅ「ナノナノ♪」バッシャバッシャ

もうあふぅは遊ぶのに夢中。
ちっとも周りのことなど眼中にありません。

スタッフ1「・・・大丈夫ですかね?」

スタッフ2「・・・だからあんな変な生き物連れてくるなって言ったのに・・・。
ディレクターは何考えてんだよ・・・」

撮影中のスタッフも困惑顔。

農家(・・・なんじゃ、ありゃあ・・・)

農家のおじいさんはポカーンとしています。


美希「・・・あふぅ?
今植えてるのは、お米って言って、おにぎりの材料なの」

あふぅ「ナノっ?」

美希「だから、あふぅがちゃんとやらないと、おにぎりが食べられなくなるかもしれないよ?」

あふぅ「ナー!!ナノっ!!」

おっと、おにぎりという言葉に反応しました。
さすがに食い意地の張った浅ましい生き物、あふぅらしいところです。

美希「じゃ、ちゃんと手伝うの。
この苗をそこに植えてね?」

あふぅ「ナノ!」

とりあえずはやる気が出たようだし、よしとしましょう。
しかし・・・。

あふぅ「ナノのっ!?!!」ズルッ

バッシャーーン

足が短すぎてちゃんとしゃがめず、植えようとした時に見事転んでしまいました。
日頃寝てばっかりだからそうなるのです。

美希「あふぅ?!大丈夫?!!」

あふぅ「な・・・ナノーーっ!!!!!」バッシャバッシャ

足を滑らせて深みにはまったのか、今度は溺れ始めます。
さっきまでバシャバシャ泥遊びをしていたのに・・・。

美希「ホラっ、つかまって!」グイッ

あふぅ「な、ナぁ・・・。
びえーーーーーーーー!!!!!!!」

助け出されたあふぅ、大泣きし始めました。

美希「・・・もう休んでていいの。
すみません、あふぅは休ませますなの」

美希もため息交じりで、あふぅを車へと戻します。

スタッフ「はぁ、分かりました・・・」


数時間後

美希「ふぅ、やっと終わったの・・・」

スタッフ「じゃあ、これで田植えのシーンは撮影終了ですね。
あとは農家さんのお家でご飯をごちそうになって、一泊していただきます」

美希「お疲れ様ですなの」

疲れ切っていた美希ですが、さすがアイドル、スタッフの前では笑顔で対応します。
わがままばっかりのあふぅとは大違いです。

あふぅ「ナノっ♪ナノっ♪」

一方のあふぅは、車の中で美希の田植え作業を見物していました。
自分はロクに手伝えなかったのに、美希が田植えしていたのを面白そうに見物しています。

美希「ほらあふぅ、行くよ?ご飯なの」

あふぅ「ナノっ!!」

ご飯と聞いてますますご機嫌のあふぅ。
何もしていなかったのに・・・。

やはり食って寝て遊ぶしか能がないのが、ぷちどるという生き物なんですね。



主婦「さーさ、今日はきりたんぽ鍋だよ~」

美希「ありがとうございますなの!いただきますなの」

スタッフ「ごちそうになります・・・ふーっ、あったけえ・・・」

夜になると冷えてきました。
しかも外はどしゃ降りの雨です。

あふぅ「ナノ・・・」

おっとあふぅ、食事に手を付けてないですね。

美希「どしたのあふぅ?お鍋だよ」

あふぅ「ナノっ!!!ナノナノナノ!!!!#」

なんとおにぎりがいい、こんなのいやだと駄々をこねています。

美希「おにぎりがいい?
あふぅ?ワガママはダメなの、早く食べないと食べるものがなくなっちゃうよ」

あふぅ「ナーーーーーー!!!!#」プンスカ

主婦「ん?おにぎりがいいのかい?
んじゃ、ちょっと握ってくるから、待ってな」

美希「すみませんなの・・・」

優しいおばあさんですね。

あふぅ「ハンっ!」フンス

一方のあふぅは、さも当然であるかのように振る舞います。
どこまでも傲慢な生き物です。

美希・スタッフ「・・・・」ハァ

周りの人々は、もうため息交じりです。


ドン!ドンドンドン!!

その時、家の玄関を叩く音が聞こえます。

農家「ん、なんだ・・・ああ、一体どうしたね」

男性「いや、どうしたもこうしたもねえ!
どしゃ降りで川が氾濫危険水域に達したってよ!土石流も来るかもしれん!!
早く避難しねと!!」

農家「え?!
いかん、婆さんすぐ支度だ!近くの中学校に避難すんぞ!」

主婦「あ、あいよ!」

<・・・こちらは~・・・市防災課・・・。
市内の川が・・・氾濫危険水域に達しました・・・。
至急、最寄りの避難所へ避難してください・・・。

おっと。
随分大変なことになってます。
防災無線まで流れていますね。

農家「おい、あんたらもすぐ避難すんぞ!
支度しろ!!」

スタッフ1「は、はい!・・・おい、荷物持ってこい、車も出すんだ!」

スタッフ2「了解です!美希さんも急いで!」

美希「わ、分かりましたなの!」

あふぅ「なぁ?」

みんなが慌ただしくなる中、一匹だけ空気の読めないバカがいました。
どうしたの?おにぎりは?

美希「ほら、あふぅも早く!避難するの!!」

あふぅ「なぁ?!!ナーーーーーー!」

ちょっと、おにぎりは?!!まだ食べてない!!!

美希「いい加減にしてあふぅ!今はそれどころじゃないの!!」

あふぅ「ナーーーーーーー!!!!!#」

怒り出します。
どこまでもワガママなヤツ。
外を見てみれば、ここにとどまるのが危険だと、すぐ分かるでしょうに。


美希「ほら、行くよ!」グイッ

あふぅ「なぁっ?!!!」

ポイッ

もう言っても聞かないと分かった美希は、むりやりあふぅをボストンバッグに入れてしまいます。

スタッフ「急いでください!もう出発します!」

美希「すぐ行きますの!」

あふぅ<ナァーーーー!!!!# ジタバタ

あふぅがバッグの中で暴れていますが、気にせず美希は外へ出て。
既に雷まで鳴っています。雨はそれこそ滝のように。

美希「荷物ですなの!」

スタッフ「トランクに入れときます、美希さんは車に乗って!」

バッグは車のトランクへ放り込まれます。
それと同時に美希が車の後部座席へ乗り込み、車が発進しました。


十数分後 

スタッフ「ふう、避難所到着ですね・・・」

美希「怖かったの・・・」

避難所に到着した一行。ほっと息をついています。

その時。

あふぅ「ナぁっ!!!#」ビリバリバリ

美希「あ、あふぅ!?!!」

なんとあふぅがバッグを引き裂いて出てきたのです。
そして、

あふぅ「ナノっ!!!」タッタッタッ

考えられないほどのスピードで、走り出しました。
避難所から逃げ出そうとして。

美希「あふぅ!!どこ行くつもりなの!!!」

美希が追おうとした時、すでにあふぅは避難所の門をくぐり抜けて行ってしまいました。

スタッフ「美希さん!今外に出たら危険です!!」

美希「離してくださいなの、あふぅがっ!!」

スタッフ「ダメです、もう土石流が発生してるみたいです、諦めて!」


あふぅ「はにぃはにぃはにぃ」タッタッタッ

あふぅは豪雨の中、もと来た道を戻っていきます。
一体何を考えているのでしょう。第一、カバンの中に押し込まれていたはずなのに、どうして道が分かったのでしょうか。

あふぅ「は・・・にぃ?」

暫く走り続けていたあふぅ。
突然、道の真ん中で茫然として立ち尽くします。

橋が、ない。

さっき車で通っていた時はあったはずの橋が。

そう、川の氾濫で押し流されてしまったのです。

あふぅ「はにぃはにぃ・・・」キョロキョロキョロ

しばらく周りを見渡しますが、どう考えても向こう岸には渡れません。
川は濁流。

あふぅ「・・・はに」

あふぅは回れ右して、避難所へ戻ろうとします。

あふぅ「はにぃはにぃ・・・はにっ?!」

しかし、暫く歩いたところで、またストップ。

道が、ない。

正確には土砂と大木が道を塞いでしまっているのです。

あふぅ「はにぃ・・・」

なすすべのないあふぅは、とうとう地面にへたり込んでしまいました。

きっとあふぅのことだから、おにぎりを貰っていないことに腹を立て、あの農家に戻ろうとしたのでしょう。
しかしあの家へ戻ったところで、誰もいないのに、ましてやおにぎりなど用意されていないのに、どうするつもりだったのでしょうか。

あふぅ「・・・はにぃ;;」

暴風と雷雨が吹き付ける暗闇に佇むあふぅ。
すすり泣きながら、ただ一人地面にしゃがみこむのでした。


数日後。

集中豪雨が収まり、ライフラインも復旧しかけて、美希とテレビ番組のスタッフ達は必死であふぅを探します。
しかし結局、あふぅが見つかることはなかったそうです。

ただ一つ、手掛かりとしては、あの農家と避難所を結ぶ道に、ちぎれたあふぅのハート型のアホ毛が転がっていたとか。
しかしあふぅは行方不明のまま、捜索は打ち切られました。

帰り道、美希は新幹線の中で、すすり泣きながら昼食を食べました。
避難所でもらった、あふぅの大好きなおにぎりを。


あふぅの農業体験 完


  • 最終更新:2014-02-20 22:18:14

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