こあみこまみの水鉄砲

暑い。暑すぎる。いや、熱い!?
Pは、事務作業しながらもぶつぶつつぶやいていた。
どうやらこの夏の暑さに頭がやられかけているようだった。
エアコンは、経費削減のためあまり下げられない。
パソコンの排熱が地味に手元をぬるくしていた。
扇風機を併用しようにも、今日ははるかさんが事務所にいるために独り占めされていた。

「がっがぁぁぁぁっ」がっちょんがっちょん

仕方がないので、扇風機の首を止めてやった。
はるかさんは扇風機に首ったけである。可愛いなぁ。

今日はアイドル達は皆仕事で出払っていた。
最近は、ぷちどるたちも裏方で働いているため、ぴよぴよやちっちゃんも出払っていた。
小鳥さんや社長の姿は朝から見えない。
社長は出張だろうか、小鳥さんは……また福引を当てたのか?
福引よりも結婚相手を引き当てればいいのに。

ぴよぉ

ぞくり、背中が寒くなった。
いや、気の所為だろう。
事務所には、はるかさんを筆頭に、あふぅ、ゆきぽ……それに、

「とかぁ」「ちー」

こあみこまみの双子だった。
うん、仕事の邪魔。

「はぁにぃぃぃぃぃ」「ぽぉぇ……しくしく」

あふぅとゆきぽは仕事の邪魔だから、ダンボールに寝ててもらっている。
出れずに暴れているのは気のせいだ。
双子は、どこかに隠れてしまって見つからなかったので、放っておいた。

「とかかかかか」「ちちちちちち」

仕事をしていると背後で何やら双子たちがうろちょろしている気配がする。

「こあみ、こまみ」

振り返るが、やつらはいない。
むう、からかわれているようだ。
仕事に戻ると、やはり背後でなにやら動いている気配がある。

「にーちゃ、にーちゃ」

こあみ……たぶん、メイビー、が声をかけている。
しかし、仕事が忙しいPは、無視。

「にーちゃ」

ピューっと、何かが当たり背中が濡れる感触。

「おふぅっ!」

急に背筋が濡れた感触にPが苦悶の声を上げた。
双子は、Pの声にキャッキャッと喜んでいた。
振り返ると、こちらに水鉄砲を向けているこあみ。一匹では持てないのか、こまみが銃身を支えていた。

「こあみっ!」

叱ろうとしたPの顔に第二射がヒット。
顔から水がしたたり落ちた。

「とかかかか」「ちちちちち」

けらけらと笑う双子。
暑さにやられたPの頭は、ボルテージが急上昇。

よーし、パパも頑張っちゃうぞー。

引き出しからエアガンを取り出す。
こあみに向かって、シュート。

パシッ、笑顔のこあみの額にBB弾が直撃した。

「とっかぁ……」

痛みにうずくまる。

「ちぃっ!?」

バランスが崩れた水鉄砲は、こまみ一匹では支えきれずに、床に落ちた。
こまみが、こあみを心配して振り返った。

第二射、シュートっ!

狙い通りに、うずくまるこあみの旋毛にヒットした。

「とかぁ……」

脳天を直撃した衝撃にこあみは、顔を上げた。
こちらへとむける顔へと幾度もBB弾を叩き込む。
顔に衝撃を受けてのけぞったこあみは、そのまま後ろに倒れて後頭部を打ち付けた。

「とかぁ……びやぁぁぁぁっ!」

こあみは、みるみるうちに目に一杯涙を浮かべ始めたかと思えば、声をあげてわんわん泣き始めた。

「ちぃっ、ちぃぃぃっ!」

姉としての矜持か、こまみがこあみに覆いかぶさるようにしてPから庇う。
Pは、エアガンを向けるのを止めると、こまみに手招きした。

「ちぃ……」

もうやめてくれることを期待しているのだろう。こまみは、素直に従った。
Pがこまみ抱き上げて、こあみのもとへ。
しゃくりあげるこあみと目が合った。上着がめくれて白い柔らかそうなお腹がのぞいていた。

「と、とか……」

バシッ。寝ているこあみの腹へと向けて引き金を引いた。

「とかぁぁぁぁぁっ!」

「ちぃっ! ちぃっ!」

やめて、やめてとこまみがPの顔をたたく。
でもやめない。

「とかぁっ……、とかぁっ……」

こあみは、這う這うの体でPから逃げようとした。
四つん這いでぷりぷり振られるちっちゃなお尻にBB弾。

「とかぁっ!!」

幾度も引き金を引いていると、やがてこあみは、その場にうずくまって動かなくなってしまった。

「ちぃ……」

こまみは、Pに抱きかかえられたまま泣いていた。
Pは、こあみの背中に向けて撃ち続けていたが、何の反応もないので、飽きた。
こまみを下してやると、仕事の続きをすることにした。

「ちぃーー……」

床に下ろされたこまみは妹のもとへ。小さく泣き続けるこあみにずっと寄り添っていた。

「がっがぁぁぁぁっ」

はるかさんは、扇風機に夢中だった。

おしまい。

  • 最終更新:2014-08-22 06:43:59

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