ぷちどるクッキング~こあみこまみ編
こまみー、何食べたい?
「ちー」画用紙を差し出す。
カレーか、字間違ってるぞ。
と、いうわけでカレーです。予想通り。
765プロ三十分間クッキング~。
「ちち、ちっちっちー♪ ちち、ちっちっちー♪」
さ、こまみ、エプロンをつけたら手を洗うんだ。
「ちー」
用意する材料は、じゃがいも、にんじん、たまねぎ。
オーソドックスなカレーですね。
じゃあ、野菜の皮を剥くからその子供用の包丁で切っていくんだ。
「ちー」
そうそう、じゃがいもは縦に四割りしたら一口大に切っていくんだ。
うん、上手だぞ。
ナデナデ。「ちー」
ぷちって撫でられるとすぐ顔を真っ赤するのが可愛いですね。
切ったじゃがいもは水にさらしておくんだぞー。
「ちー」
こまみは、まな板から水を張ったボールへ、ぽちゃぽちゃとじゃがいもを落としていきます。
ジャガイモは空気に触れるとすぐ色が変色してしまいます。
次は、たまねぎだよ。
涙が出るから気をつけてな。
切り方はジャガイモと一緒でいいから。
「ちぃ~、ちぃ~」
たまねぎは良く冷やすか、よく切れる包丁を使うと涙がでる元となる硫化アリルの飛び散りが抑えられます。
ちなみに、粘膜が刺激されるのでゴーグルをつけるとともに鼻も塞ぐと効果的です。
こまみは、涙まみれになっていますね。
やっぱり、目が大きいから刺激が強いのでしょう。
次はにんじん。
「ちぃ~」
イヤイヤ、と顔を振る。
ん、こまみはにんじん嫌いか。
「ちー」
我慢しなさい。
にんじんは、乱切りでも半月でも好きなように。
他の材料と大きさを合わせたほうが火の通りがいいでしょう。
嫌いな子がいる場合は摩り下ろして加えるという方法もありますね。
「ちー」
ん、お肉は入れないのかって。
分ってるさ。
お肉は……。
お前だー!
「ちぃぃぃぃっ!?」
ははっ、うそうそ。
「ちー」
あっ、ホッとしてる。
お肉は、オーソドックスに豚肉です。
モモ肉もいいけど、ここは油のうまみが濃厚な塊バラ肉を使います。
昔は安かったけど、値段が上がってきましたね。
コレも一口大に切っていきます。
油で滑ると危ないので、これはこまみにはやらせません。
さて、材料を切り終えれば後は煮るだけです。
まず、おなべに油を引いてっと。
隠し味ににんにくを一欠けら、油を温めて香りを移します。
油が温まったらお肉を炒めましょう。
お肉が白くなったら、水を切ったジャガイモ、たまねぎにんじん。
これらは、いっぺんに入れても大丈夫。
カレーはおおらかな料理なんです。
油をなじませたら水を入れましょう。
後は、野菜が柔らかくなるまで煮たら、カレールーを入れれば完成。
三十分くらい煮ればいいかな。
「ちー」
どうした、時計を指して?
あぁ、三十分クッキングなのに、三十分煮たら時間が足りないってことか。
大丈夫、事前に煮込んだカレーがココに。
どんっ、大きな寸胴を取り出します。
先ほどまでのカレーは二人前くらいの小さな鍋です。
「ちぃっ!?」
うーん。結構材料が大きかったから。
じゃ、盛り付けるから召し上がれ。
「ちぃ~!」
こまみはスプーンをもって大喜びしています。
カレーが大好きなんですね。
こまみはカレーを一口。
「ちー」
おいしーい。
と、その手の動きを増していきます。
ガツガツ、あっという間に平らげたこまみ。
皿をこちらに差し出しました。
おかわりか?
「ちー!」
そうか、じゃあ、自分でよそいなさい。
お皿にご飯を盛ると、こまみを両手で掲げて寸胴の上へ。
こまみがお玉を動かすと、中で大きなナニカに引っかかりました。
おっ、大当たりだ、こまみ。
引き上げてみな。
こまみは、ソレを大きなお肉と期待したのか。
ぐっ、と力をこめてお玉を引き上げました。
「ちぃぃぃっ!」
黄金色のルーの中から浮かび上がったそれを見た瞬間、こまみは震え上がりました。
こまみが手から逃げ出そうと暴れると、お玉に引っかかりました。
床に落ちるお玉に押し出される形で、ソレは鍋から飛び出します。
べしゃと、粘ついた音を立てて床へと落ちるソレを見て。
「ちぃぃぃっ!!」
こまみは手から脱出すると、ソレへと駆け寄りました。
半分煮崩れて、骨が見えていても、ソレが自分の妹だというは分るのでしょう。
こまみは自分がカレーで汚れるのも厭わず、その首を抱きしめました。
「ちぃ、ちぃ、ちぃ」
ぽろぽろ、ぽろぽろと、涙を流しています。
こまみー、おかわり、いる?
こまみは、一瞬口を押さえましたが、立ち上がるとふらふらと部屋をで行きました。
愛おしそうに、こあみの首を抱きかかえたまま。
えーと。
残ったカレーは他のぷちたちがおいしく食べました。
ポークカレーはスタッフがおいしく食べました。
おしまい。
- 最終更新:2014-02-20 15:18:34