ぷちどる矯正収容所

取材開始編

ぷちどる矯正収容所(以下「収容所」)なるモノがあると聞き、私は取材を申し入れた。
暫くして収容所側から取材可の回答を得た為、私は収容所のあるT市に向かった。
収容所に向かう途中、多数のぷちどるを乗せた車両を何度か見かけた。遠目だった為、ハッキリとは分からないが、あふぅらしき姿のぷちどるが多かったと思う。また、その車両が向かっている先が私のそれと同じ方向だった為、恐らく、行き先は収容所なのだろう。
収容所に到着すると、道中で見掛けた車両が去っていくところに遭遇した。それが再び此処に来る時には、ぷちどるを満載にしている事だろう。
収容所正門に近づくと、1人のスタッフが私を待っていた。

スタッフ「ようこそ、ぷちどる矯正収容所へ。所長よりお話は伺っております」

スタッフ「私は所長より案内役を仰せつかった南方(みなかた)と申します。先ずは、所長からの話を聞いていただきますので、私について来て下さい」

私は黙って南方氏について行く。
所長室の前に着くと、南方氏は扉をノックし、中にいるであろう所長に取材者(私の事)の来訪を伝える。そして南方氏は中からの返答を待たずに扉を開け、私を中へ行くよう促す。
私は促されるままに所長室に入った。それに続いて南方氏も所長室に入り、扉を閉める。
私が促された所長室は、今私がいる所から見て、手前に応接用と思しきソファやテーブルがあり、その奥にデスクがある。
そのデスクで書類に目を通している人物こそが、この収容所の所長だ。
扉が閉まる音を耳にした途端、所長はおもむろに顔を上げた。そして私を認めると、書類を置き、立ち上がってデスクから離れつつ、

所長「貴方が取材にいらした迫(はざま)さんですね?私が当矯正収容所所長兼総務部長の中田(なかだ)です。先ずは其方へお座り下さい」

と私にソファへ座るよう促す。
私がソファに座ると所長は相対する形でソファに座った。

所長「改めまして、私が矯正収容所所長兼総務部長の中田です。既に案内役の南方から聞いているかと思いますが、当収容所の設立の経緯等を聞いていただきたい。質問等はその後でお聞き致します」

所長は其処で一息入れて、設立の経緯から話し始めた。


所長取材編

設立の経緯としては、ぷちどるの虐待や駆除に心を痛めた中田所長が、ぷちどるの矯正をもってすれば、駆除対象のぷちどるもペットとして扱って貰えるのではないか?と思ったのが始まりで、これに共鳴した米山(よねやま)氏と石越(いしこし)氏が協力し、収容所があるこの市に組織を設立したのが始まりだそうだ。
尤も、何の知識もなしに収容所を建設しても、頓挫する確率が高い。其処でぷちどるの生態を知る事から始め、最低限の対処が出来るようになってから、漸く収容所を建設したという。
また、収容所の運営を開始してから暫くの間は、運営費をT市からの補助金に頼っていたが、現在では収容所独自の収入で賄っているという。

所長「当収容所のある、T市職員や市民の皆様の御理解には本当に感謝しております。中には、当収容所の表から出て行くぷちどるを引き取りたいと希望して下さる方もいらっしゃるくらいです」

続いて、組織の話に移った。
この収容所は、中田所長を頂点とし、研究部、矯正部、総務部がその下にある。
研究部は米山氏を部長に据え、日々ぷちどるの生態の研究やぷちどる毎の矯正プログラムの改善に勤しんでいるという。矯正プログラムとは、簡単に言えば、ぷちどるによっては、その行動が人間に被害を与えてしまう為、その行動をさせない為のモノだそうだ。
また、現在行われているプログラムでは不完全という前提で改善を行っているが、そのプログラムの改善が停止していたり、プログラムがないぷちどるもいるという。
矯正部は石越氏を部長に据え、ぷちどる毎の矯正プログラムに合わせて、ぷちどる達に相対しているという。
矯正プログラムによって、収容所の表から出て行くぷちどるが多い半面、裏から出て行くのも少なくないとも所長は言う。
総務部は中田所長が総務部長を兼任している。
総務部は研究部および矯正部が担当していない業務を一手に引き受けている。
収容されているぷちどるは勿論スタッフの食事、外部との折衝、経理等、挙げていけばキリがない。
因みに、ちっちゃんやぴよぴよは収容所に送られて来ると、此処に配属される事が多く、総務部のスタッフの7割がちっちゃんとぴよぴよとの事。

所長「一時は総務部のスタッフをちっちゃんとぴよぴよのみしようと考えた事もありますが、あれらの安全を考慮すると、無理だと判断しました」

話は収容所で行われている事、即ち、ぷちどるの収容や矯正プログラムの詳細に移った。
このぷちどる矯正収容所は、基本的に全てのぷちどるを収容する。尤も、先の話にもあったように、矯正プログラムがないぷちどる、矯正プログラムはあるが停止したぷちどるがいる。
矯正プログラムがないぷちどるが、

はるかさん

ぴよぴよ

みうらさん

矯正プログラムはあるが、現在は停止しているぷちどるが、

こあみ・こまみ

ちっちゃん

矯正プログラムはあるが、停止するか否か判断を下す必要があるぷちどるが、

ちびき

矯正プログラムを実行中のぷちどるが、

残る全て

所長が理由を話す。

所長「まず、はるかさんとみうらさんですが、あれらの意思ではどうにもならないというのが理由です。これは早い段階で明らかになっていまして、それ故にあれらに関しては有効活用出来ないかという方向で研究を進めました」

所長は一息入れて続ける。

所長「結果、みうらさんは悪用されない為の教育を行い、人間に有益な生物として生きていけるようにしました。また、はるかさんは、当収容所に於いては家畜相当に扱う事になりました。勿論、はるかさんの引き取りを希望する方がいらっしゃれば、注意事項をお話した上で引き渡す事は稀にありますが」

所長「ぴよぴよは米山を始め、研究部員全員が『現時点での矯正プログラムの必要性はない』との見解で一致していますし、先程も申し上げましたが私は私で総務部長として、ぴよぴよに助けられていますからね」

所長「次に、矯正プログラムが停止しているこあみ・こまみとちっちゃんですが、結果から先に申しますと、矯正プログラムをパスしたのは全て裏から出て行きました」

所長「こあみ・こまみは呼吸と同じで、矯正プログラムをパスする事は呼吸を止めるのと同じだったのが原因です。ちっちゃんに関しては、矯正プログラムをパスした事により生じた絶望が原因でした」

所長「こあみ・こまみとちっちゃんは、矯正プログラムを停止しました。その後は有効活用の研究を進め、ちっちゃんはぴよぴよと同列に、こあみ・こまみははるかさんの食料として扱う事になりました」

所長「こあみ・こまみは兎角、ちっちゃんの有益性を考慮すると、非道な真似をしたと反省しています」

所長「それを忘れない為に、そのちっちゃんが裏から出て行った日を『ちっちゃんの日』と定め、その日はどのぷちどるにも矯正プログラムは実行しません。尤も、勝手は許しませんがね」

所長「最後に、ちびきは現在矯正プログラムを行っているぷちどるの中では、難物に分類されています。ちびきの担当を嫌がる矯正部のスタッフがいるくらいですからね。現時点では、研究部からの見解を待っているところです」

所長の話は此処で終わった。
私は何故ぷちどるを矯正するのか尋ねた。

所長「ぷちどるは一度人間と関わると、野生へは帰れないのですよ」

所長「研究部には野生観察班というのがあります。野生観察班からの報告では、野生のぷちどるの生態は人間と関わったそれとは全く違うと」

所長「また、当収容所に収容されたゆきぽを野生ゆきぽが生息している所に試験的に放ったところ、野生ゆきぽが瞬く間に試験的に放ったゆきぽを撲殺したと。他のぷちどるでも同様の事例が私の所迄上がりました」

所長「これらの報告から、人間が関わったぷちどるは矯正しなければならないのです」

私は更に質問した。
収容所の矯正プログラムがぷちどる愛護団体から批判の的になっているが、それに関してはどう考えているのかと。

所長「彼等には彼等の価値観があるのでしょう。つまり、当収容所の矯正プログラムは彼等にとっては相容れられないモノだと」

所長「しかし、私から見れば、彼等はただ保護しろと叫んでいるだけです。中には実践している者もいるでしょうが、私には、彼等を相容れる事は出来ません」

所長「確かに、個体によっては矯正プログラムに適応出来ず、裏から出て行くぷちどるもいます」

所長「しかし考えてみて下さい。当収容所の存在が矯正プログラムが無ければ、ぷちどる達のとりまく状況は全く変わらないのですよ」

所長「価値観の相違でしかないのですよ。私を含めた収容所スタッフは皆、ぷちどるを守りたいという思いだけなら、彼等と変わりはないのです」

私は所長のその言葉に衝撃を受けた。
そうだ。始めに中田所長もぷちどるの虐待・駆除に心を痛めたと言っていたではないか。
収容所、矯正プログラム、これらの言葉によって、私は収容所スタッフを色眼鏡で見る形になっていたのではないだろうか。

私はぷちどる愛護団体に所属している人間ではない。只のフリージャーナリストだ。この収容所には取材で来たのであって、非難する為に来たのではない。
私は矯正関係の質問を切り上げ、新たに質問する。
収容所を建設後暫くは運営費の多くをT市からの補助金に依存していたが、現在は収容所独自の収入で運営費を賄っているとの事だが、その詳細はどうなっているのかと。

所長「収容所の収入の多くは、あふぅ酒が主ですね。他にはぷちどるにもよりますが、矯正プログラムをパスしたぷちどるの引き取りを希望するT市民以外の一般の方や、買い取りたいというペットショップ業者への売却益もあります。特に業者に関しては、当収容所の目的に合致する業者であると此方が認めた業者に限り、売却しています」

その回答に私は、
T市民には無償で引き渡していると解釈したが、T市民とそうでない一般人の差は何か?
と質問を重ねる。

所長「当収容所の運営開始から暫くは、T市の補助金に依存していた事は先に述べました。T市の補助金はつまるところ、T市民からの税金であり、それによって当初の運営は賄われていたと言っていいでしょう」

所長「T市民の皆様に、当収容所が出来る事は、矯正プログラムをパスしたぷちどるの引き取りを希望されるならば、無償でお渡しするくらいしかありません。これは、T市民の権利と当収容所は考えております。尤も、希望される市民の皆様には、T市民である証明の呈示と親族等も含め人には渡さないようお願い致しておりますがね」

所長「T市民以外の一般人には売却という形をとっているのは、矯正プログラムをパスしたぷちどるの売却が当収容所の収入源の1つであるからというのは勿論ですが、当収容所にはさほど関わっていない、と考えているからです」

そこで私は尋ねる。
それはつまり、収容所の運営開始当初に、迷惑をかけた相手か否かで区別しているのかと。

所長「そう思っていただいて、差し支えはありません」

私は此処で質問を切り上げる事にした。
質問は他にもあったが、中田所長に回答してもらうより、米山研究部長、石越矯正部長に回答してもらうのが妥当と判断したからだ。
私は中田所長に礼を言った。

所長「取材の申し入れの際に、矯正プログラムの実行現場は無論の事、米山や石越にも取材したいとの事でしたね。両者とも承諾しておりますので、現場取材より先に其方の取材をされては如何でしょうか?」

中田所長に言われずとも、私はそのつもりでいるのだが、それを面には出さずに提案に乗るフリをする。

所長「うむ。では南方君、迫さんの案内を頼むよ」

南方「はい」

所長のその言葉に、私は案内役の南方氏の存在を忘れている事に気付いた。南方氏の声がした方に顔を向けると、
私の現在の位置から見て右後方に立っていた。
私が所長に促されてからずっと其処で立っていたのだろうか?
南方氏はそんな私の思考を知る筈もなく、私を所長室からの退出を促す。
私はそれに従い、中田所長にもう一度礼をして、所長室を退出した。続いて南方氏も退出し、扉を閉める。

南方「では迫さん、どちらから取材に行かれますか?」


研究部長取材編

私は研究部に向かいたいと南方氏に伝えた。

南方「分かりました」

南方氏はそう言うや歩き出した。私はそれについて行く。
私は南方氏に幾度か質問を試みるが、

自分はただの案内であり、質問されても満足する回答はできない

と返された。
気付けば研究部の扉の前に着いた。
南方氏は所長室の時とほぼ同じ行動をとった。唯一異なっていたのは、来訪者(私の事)の到着を伝えた後、扉を開けて中へ入って行ったのだ。
慌てて私も研究部に入る。
研究部とは言ってもその室内は、何処にでもあるオフィスと変わりない。
扉の近くにあったホワイトボードから、実験室的なモノは別にあるのだろう。
ざっと見回してみたが、米山研究部長らしき人物は見当たらない。
南方氏は室内に残っている研究部員に何かを尋ねている。恐らくは研究部長の事と思われる。様子からして、少々待たなければならない雰囲気が感じ取れる。
それならそれで、研究部長に訊くべき事と所長からの話をまとめる時間に充てようと私は考えているのだが、南方氏は来訪者を待たすのが嫌いらしい。
南方氏は暫く研究部員とやり取りをしていたが、ヤレヤレといった雰囲気を見せつつ、

南方「迫さん、米山は現在研究棟におり、戻るのに少々時間をいただかないとなりません」

と私に伝える。
私は予想しつつも南方氏に、その研究棟に私は入れないのか?と訊く。南方氏の回答は予想通りのモノだった。

南方「研究棟に入れるのは、研究部員以外では、中田と石越だけです」

私は承知する他なかった。
米山部長が戻る迄の間、研究部の片隅にある来客用と思しきソファに座り、所長からの話をまとめる事にした。
暫くすると、私の目の前に白衣を着たスタッフが現れた。

白衣「取材にいらした迫さんですね?お待たせして申し訳ありません。私が当矯正収容所研究部長の米山です。中田からは話は聞いております。私の話せる範囲でお話いたしましょう」

米山研究部長は挨拶もそこそこに、私に相対した。

米山「その前に、中田からどういう話を聞かれましたか?」

米山部長から問われ、私は所長から聞いた話を全て伝えた。

米山「ふむ…。それだと私が話せるのは、ウチ(研究部)の組織に関してだけですね」

そう言うや、米山部長は話し始めた。

研究部には生態研究課、プログラム課がある。
生態研究課は各ぷちどるの生態の研究し、その成果は米山部長を通じてプログラム課へ伝える。対してプログラム課は生態研究課からの成果を元に、矯正プログラムの改善を図り、矯正部へプログラムを送る。また、矯正プログラムの効果報告を矯正部から受け、その内容を問わず米山部長を通じて生態研究課に伝える。

米山「課の存在はありますが、細かい事に関しては私を通す必要はない事を話しています。尤も、気になって尋ねる事はありますがね」

米山「また、生態研究課の下には、中田の話に出て来た野生観察班があります」

野生観察班は、野生のぷちどるの生態の観察・調査を主とする。ぷちどるは人間と関わりを持つと野生に帰れなくなる為、スタッフは野生ぷちどるに気取られる事なく観察する事を求められる。
尤も、以前試験的にわざと野生ぷちどるに接触し、敵対的態度と友好的態度をとらせてみた事はあり、敵対的態度をとった場合は、スタッフに近付くどころか住処を別に移し、友好的態度をとった場合は、収容所送りの結果を迎えたという。
尤も、全ての野生ぷちどるで確認出来たわけではなく、確認出来なかった野生ぷちどるの中では、野生みうらさんは存在すら確認出来ていない。

米山「人間が関わったみうらさんですら、生態がわかりきってはいませんから、野生は推して知るべしです」

其処で米山部長は一息おいた。

米山「ウチはこんなところですかね。お尋ねしたい事があればどうぞ。答えられる範疇であればお答え致します」

米山部長のその言葉を契機に、私は質問を始めた。
何故に矯正プログラムが存在するのか?

米山「ウチでは『特徴的行動』と呼んでいますが、それを含め、人間に害を与える行動をぷちどるの意思で抑え込ませるのが、矯正プログラムの目的です」

米山「一例として、ちひゃーの歌い出しがあります。これは他のぷちどるにはない行動ですので、ちひゃーの特徴的行動と言えます。また欲求から発する行動もあり、それらの行動をちひゃーの意思で抑え込ませるのが矯正プログラムというわけです」

米山「中田や石越は分かりませんが、私は矯正プログラムなくして当矯正収容所の存在意義は無いと考えています」

その例によると、ちひゃーが欲求を発した時ではなく、人間側から行うのは問題はないのか?

米山「ぷちどるが欲求を発し、其処で飼主が応じて欲求を満たしてしまう事でぷちどるの増長が起こります。しかし、人間側で、そうなる前にその欲求を満たしてやるとぷちどるは増長しません」

米山「残念ながら、何故にそうなるのかは未だに分かっていません」

米山「現時点では、例で挙げたちひゃーを含め、ぷちどるの欲求を発する前にそれを満たせば良い、という事になりますが、人間側が常に対応出来るかと言えば、否定せざるをえません」

米山「故に、矯正プログラムには欲求を発しなくとも、欲求を満たしてくれるという事を学習して貰う目的もあります」

こあみ・こまみ及びちっちゃんの矯正プログラムは停止したとの事だが、ちっちゃん等に対する新たな矯正プログラムを組んではいないのか?

米山「停止した理由は既に中田から聞いているでしょうが、プログラムをパスしたこあみ・こまみとちっちゃんは全て裏から出て行きました。原因はこあみ・こまみの特徴的行動が呼吸と等しかった事、ちっちゃんは絶望したが故でした」

米山「これも中田から聞いているでしょうが、当収容所に於いては現状、こあみ・こまみははるかさんの食料、ちっちゃんはぴよぴよと同列に扱うという事になっています。しかし、有益性のあるちっちゃんは兎角、こあみ・こまみは当収容所に収容されたが最後となってしまう現状を打破しなければなりません」

米山「こあみ・こまみに関しては、裏から出て行く事がない矯正プログラムの開発に着手しています。ベースが出来れば、それは奇跡と呼べるかもしれません」

こあみ・こまみの新たな矯正プログラムの開発は、他のぷちどるとはとりまく状況が変わっていないと判断しているが故か?

米山「そうです。寧ろ私の目にはこあみ・こまみのとりまく状況は、当収容所が存在する以前より悪化していると映っていますからね」

所長の話で出て来た、野生ぷちどるが試験的に放った収容ぷちどるを死なせた事例は具体的にどういったものだったのか?

米山「確認出来たぷちどるでは、ゆきぽとちひゃーは撲殺、あふぅは私刑、こあみ・こまみは罠に掛かって死亡、はるかさんは野生に受け入れられましたが数日後に死亡、ちびきは召喚合戦の末、まこちーとたかにゃは戦闘の連続で力尽き、やよは獲物と認識されて食われ、いおは消し炭と化しました」

米山「みうらさんは野生が確認出来ない事もあって行えず、ちっちゃんとぴよぴよは有益性から(試験的に放つ事を)行いませんでした」

人間から野生ぷちどるへの接触及び対応の結果は分かったが、逆に野生ぷちどるから人間に近付いた場合の対応例や結果はないのか?

米山「何れも収容所送りという結果です」

ちびきに対する矯正プログラムは停止するか否かという状況にあると聞いたが、停止すると仮定して、どうする考えでいるのか?

米山「ちびきの特徴的行動は、涙を見せると生物が召喚されるというモノです」

米山「スタッフで対処可能な生物なら良いのですが、中には怪物といって差し支えないモノもいますからね」

米山「はるかさんやみうらさんと同様不可抗力と見るか、現在のモノとは異なる矯正プログラムを開発して矯正を図るかの何れかになりますが、現在のプログラムは廃止の方向で検討しています」

研究棟ではどういった事が為されているのか?と質問したその時、
研究部に残っていた研究部員が米山部長に近付き、何かを耳打ちした。

米山「何!?飛鷹(ひだか)君、本当かね!?」

米山部長は研究部員に振り返りつつ尋ね、飛鷹と呼ばれた研究部員は頷く。
米山部長は私に向き直り、頭を下げ、

米山「迫さん、申し訳ない。研究棟にいる部員から至急研究棟に来てほしいと言ってきました。取材は此処で終了させて下さい」

私は何事なのかを尋ねたかったが、状況が許してくれなさそうだと判断し、米山部長に礼を言った。

米山「やむを得ないとは言え、取材を終了させてしまい、申し訳ない。もし、更に取材が必要であれば、応じますよ」

米山部長はそう言って、研究棟に向かった。

南方「全く米山部長は…」

米山部長がいなくなった直後、南方氏の声を耳にし、私は声のした方へ顔を向けた。
南方氏は私の真後ろに立っていた。
私は存在を感じさせない人だと、この時思った。

南方「次は矯正部ですね?」


  • 最終更新:2015-11-05 05:51:22

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