ぷちどる駆除士・P

※これは「床下のゆきぽ」にインスピレーションを受けて、書いた作品です。
基幹となる設定を拝借したことを、作者さまにお詫びいたします。


21世紀現在。
ぷちどる。各地に大量発生したその生物による被害は、社会問題にまでなっていた……。

P「えー、ぷちどる駆除の専門機関、765プロのPです。
え、アイドルのプロデュース業? そんな時代もありましたね。
今では駆除士を教育する傍ら、害獣退治に日々追われております」

『ぷちどる駆除士』
国家資格。ぷちどるの退治を専門としている。
養成機関で教育を受け、試験に合格した者のみが「駆除士」を名乗れる。
資格を有さない者でも駆除の仕事はできるが、信用度が違う。

P「それでは早速、講義といきましょう。まずはこいつのおさらいから」

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         亡7 ̄ ̄てフ

DATA:ゆきぽ
おかっぱ、白いワンピース、尻尾が生えている場合がある。
鳴き声は「ぽえ~」「ぷい~」「ぱう~」など。
お茶とたくあんが好物、力が強い、穴を掘る、凶器(スコップ)を扱う。
基本的に臆病だが、追い詰められるとパニックになって反撃してくる。

P「ぷちどる退治は、ゆきぽ退治と言っても過言ではありません。
人間に害を与えてくるぷちどるとしては、他にあふぅ、ちひゃー、こあみこまみ、などが挙げられますが、
これらは各家庭や自治体によって、大方が自主的に駆除されています。
しかしゆきぽだけは、駆除士への仕事依頼が後を絶ちません。その理由はなんでしょうか?」

受講者「ヘタに手を出すと、ケガをする恐れがあるからです」

P「その通り。コンクリや固い土壌もくり抜いて、穴を掘ってしまうほどの怪力の持ち主だからです。
決して攻撃的ではないのですが、臆病ゆえかこちらが駆除目的で動くと、反撃してくる可能性があります。
例によって力持ちですので、人間側が痛い目を見ることになりかねません」

駆除士への依頼内容の、実に80%がゆきぽ退治である。

P「ちびき、いおも危険生物ではありますが、幾分理性的です。保護すれば気を良くして問題は起こしません。
この点、あふぅやゆきぽは、保護しても悪さを働くか調子に乗る一方です」

Pが、モニターとビデオを用意する。

P「つまり、殺すしかない存在なわけです。ここで、ゆきぽ駆除の一例を見てみましょう」

画面に、作業服を着たPと助手数名の姿が映し出される。
場所は屋外。草の他には何もない空き地だった。

P「ここにゆきぽが穴を掘って棲みついていると、地主さんから駆除の依頼がありました。よく見れば穴が、複数あります。ゆきぽの一団が、この地面の下で暮らしているようです。
モグラなわけですが、本物のモグラは連中に追い出されています。
他種との共存というものを知らない、害獣の中の害獣です」

「ポエーポエー」「プイー」「ポー」「パウー」

P「じっと穴に耳を近づけてみると、奴らの声が聞こえてきます。
本来、ゆきぽは穴を掘って寝ることはあっても、中には棲まない性質だったのですが、
大量発生して屋外に広く生息するようになった後、このような習性を身につけたそうです。
臆病なゆきぽは、何かと騒がしい地上の雰囲気に馴染めなかったのです」

「ポエー」「パウー」

P「放置すればトンネルを拡げ、民家にまで侵入してきます。ここでは、
すでに軒下にまで通じているかもしれません。大量のゆきぽが生息するには、
それなりの食料を確保する必要がありますから。即急な駆除が求められます」

Pが駆除用の道具を構える。掃除機の筒のようなパイプと、燃料の入ったボンベを携えた姿は、
さながら火炎放射器を装備した兵士だった。

P「これは除草用のバーナーを、ぷちどる退治のために強化改良した武器です。
単純に焼き殺すこともできますが、穴の中にいるゆきぽを、もっと効率良く殺せます。
酸素が少ない地中で火を燃やすことによって、内部を酸欠状態に追い込むのです。
この手法は実際の戦争でも、火炎放射器によって行なわれています。
悲惨な例を知りたい方は、沖縄戦でググってください」

助手が、ガス漏れ検知器を穴に入れた。

P「地中を掘るゆきぽによって、ガス管が傷つけられていることがあります。
その場合はガスによって自滅しているでしょうが、一応確認しておいてください」

万事オーケー。助手がゴーサインを出した。

P「それではいきます。点火!」ボオオオ

Pが穴の中に向けて、炎を発射した。

「ポ、ポエエ!」「プイイイ!?」「プエエエエ!!」

P「阿鼻叫喚ですね。まさに灼熱地獄でしょうか。いや、焦熱地獄?
しばらく放射し続けてください。中の酸素が完全になくなるまで」ゴオオオ

突然の熱気に、ゆきぽ達は大混乱しているようだった。
Pは抜かりなく、あちこちに空けられた穴の傍に、助手達を配置した。

ゆきぽ「ぽー!」スポンッ

熱気と息苦しさに耐えられなくなったゆきぽが一匹、穴から飛び出してきた。
すかさず助手が、そのおかっぱ頭に棍棒を振り下ろす。

ゆきぽ「ぽぎゃっ!?」ゴンッ、ビクビク

同じ要領で、他の助手達も次々と地中から這い出てくるゆきぽの頭に一撃をお見舞いする。

ゆきぽ「ぽげっ!?」「ぴぎゃ!」「ぷげえっ!?」「ぽぎい!」

ゆきぽ達は残らず昏倒するか、打ちどころが悪くて絶命した。

P「……っと、火の燃え具合が悪くなってきましたね。いよいよ酸素が尽きたのかもしれません。
これで中に残っているゆきぽ達は絶望的でしょう。モグラの真似しておきながら、
モグラほど低酸素状態に耐性があるわけでもないようなので」

「ポ、ポヒュ・・・」「プイイ・・・」

確認はできないが、確かに地中にいるゆきぽ達は死にかかっているようだった。

「後は穴を全部埋め直して一丁上がりです。ゴミどもの死体の分解は、虫さん達に任せましょう。
地上に出てきた奴らは、ここでまとめて火葬します」

再び点火。集められたゆきぽ達が火に包まれる。

ゆきぽ「ぽ、ぎゃあああああああああ!!」メラメラ

苦痛に目を覚ました一匹が、最期の叫びを上げた。

P「はいはい、消毒消毒」ボオオオ

ゆきぽ「ぽ、お、お…………」

ゆきぽ達は残らず燃え落ち、炭になった。

P「このように、ゆきぽの巣退治には炎を使った方法が効果的です。
屋外限定で大がかりなのがネックですが、効き目は確実ですね。
他にも効率の良いやり方はありますが、ひとまず今回の講義ではここまでとします」

終わり

※草焼きバーナーは普通に入手できますが、絶対に危ない使い方はしないでください。

  • 最終更新:2014-02-20 15:12:08

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