クロックタワー・ぷちどるハント3

――前回の続き

死のゲームから生還したこまみ。しかし三度、獲物役にされてしまいます。

「ぷちが生き残ること自体、そうないんですけどね。それでも奴が残り続けるのは珍しいですよ」

「けど、幸運もここまででしょう。三回以上、生き延びたぷちは……まだいませんから」

監視カメラを覗く係員達の目は、こまみに集中していました。


こまみ「ぢーっ! ぢーっ!」

こまみと他のぷち達は、控室から時計塔内部へと送られたところでした。
もうこまみにとっては、三度目となる舞台です。

アフ・・・ クウ? トカー ウッウー

こまみ「ちー、ちー!!」

事情を知らないあふぅ達に説明しようとしますが、相変わらず上手く伝わりません。
そうしているうちにアナウンスが入り、ゲーム開始の時が迫ってきます。

こまみ「ちーーーっ!!」カンカン

とにかく上に逃げろ。それだけ言い残し、こまみは一足先に階段を駆け上り出しました。
後ろから悲鳴が聞こえますが、これは最初にモニターで見せられる残虐映像の音声です。

あふぅ「ナ、ナノォ!?」
ちひゃー「くぅぅうう!?」
こあみ「とかああああ!?」
やよ「」ζ*T0゚)ζ

ようやく、あふぅ達もただならぬ事態であることを理解したようです。
画面の中では、同じぷち達が絶叫を上げ、血だるまになって死んでいたのです。

ビーーーーーー!! ガシャン……

そして、開始の合図。
奥の扉から現れたのは、巨大なハサミを手にした、怪しげな格好の男でした。

殺人鬼(大バサミ)「……一匹も逃がさん」チョキーン、チョキーン

あふぅ「ナァ!? ナノノノ!!」

見るからに異質で凶悪な武器が、こちらに向けられているのです。
あふぅが階段を上り始めました。こまみを追うように、自身も逃げ出したのです。

「くぅぅーっ!?」「とかーーっ!!」「うっう~~っ!!」

他のぷち達もそれに続きます。ちひゃーも、威嚇する勇気はないようでした。

殺人鬼(大バサミ)「……」

殺人鬼は、急いで追おうとはしませんでした。
静かにポケットからそれを取り出し、床へと落としたのです。

チャリーン……

やよ「うっう~!」ζ*^O^)ζ ダッ

このアトラクションでは、お馴染みの光景です。
途中まで昇った階段をわざわざ降りてきて、やよが床にある10円玉を咥えようとしました。

ヒュン、ブスリ!!
やよ「うぅ゛う゛ゃぁぁああああああああ!?」::ζ**p*)ζ::

殺人鬼が突いたハサミが、やよの目玉に突き刺さりました。
ちょうど両方の刃で両目が抉られる形になり、やよは一気に光を失います。

やよ「うぅぇえええええ!! ぇぇぅうううう!!」::ζli*'O`)ζ::

殺人鬼はすぐさまハサミを、やよの両目から引き抜きました。
脳まで貫通させなかったのは、即死させないためでした。

殺人鬼(大バサミ)「ちょっと切れ味を試させろ」グイッ
バチン!
やよ「ぅぁああああああああ!!」ζli*'p`)ζ,',:’u スパーン

足を挟み込んだ刃が閉じられ、やよが片足を切断されます。
殺人鬼は同じようにハサミを開閉し、やよの四肢をぶち切っていきました。

バチン! ,',:’っ
バチン! ,',:’u
バチン! ,',:’っ
やよ「ぅぇぇぁぁあああ!! ぇぅぅぅうううあああああ!!」ブシュー

両手両足を切り離され、やよはダルマになってのたうち回りました。
幼稚園児のような黄色い上着は、今や血で真っ赤に染まっています。

殺人鬼(大バサミ)「仕上げだ」
バチン!
やよ「う゛ゃ……」::;:.., ;:.ζ*゙;Q゙)ζ スパーン

最後にハサミが閉じられた時、やよの首と胴体は別々になっていました。

やよ「」

間を置かず、殺人鬼はやよの胴体をエレベーターまで引きずり、扉の部分にそれを挟みました。
これでエレベーターは使用不能になり、上階から呼ぶことができません。

カンカンカンカン……
他のぷち達は皆、上へと逃げています。獲物の退路を断った殺人鬼が、いよいよ階段を上って行きました。

こまみ「ちー……」

その頃、上階の機関室へと到達したこまみは、すでに物陰に避難していました。
確かに少しは慣れた感覚もあったのですが、だからといって狩られる立場に変わりはありません。
勝ち目がない以上、ひたすら逃げて隠れるしかないのです。

あふぅ「ナノー!」 ちひゃー「くぅぅ!」

遅れて、あふぅ達も逃げ込んできました。思い思いに身を隠します。

こあみ「とか! とか!」

こまみ「ちー!?」

しかし考えることが似ているのか、こあみはこまみが隠れている場所にやってきてしまいます。

こまみ「ちーっ!」 こあみ「とかとか!」イヤイヤ

なんでこっちに来るんだ、違う所に隠れろとこまみが指示しますが、こあみは動こうとしません。
片割れが違っても双子で一緒にいたいのでしょう。そう思うと、こまみも厳しいことは言えなくなります。

カンカンカンカン……
あのチョキチョキという音は鳴っていませんが、殺人鬼が上階へ辿り着いたようです。
こまみは口に手を当て、こあみにとにかく声を出さないよう促しました。

こまみ・こあみ「「……」」

ドチャ! ゴロゴロ……
妙な音がしました。何かが床に落ちたようです。
殺人鬼はやたらと荒らし回ろうとはせず、それを足で転がしていました。

やよ「」ζ*x;Q゙)ζ ゴロン

それは、切断されたやよの頭部でした。殺人鬼はサッカーボールのように、やよの首を弄んでいたのです。

こあみ「とかぁ!?」

無惨なやよの首がまともに視界に入り、こあみは思わず声を上げてしまいました。

こまみ「っ……!!」

怒る暇もありません。こちらの居所に気づいた殺人鬼が、すぐさま向かってきたのです。

殺人鬼(大バサミ)「見つけたぞ!」

こあみ「とかーっ!」ダッ

こういう時は、先に動いた方がより危険です。恐怖でこあみが飛び出したのに対し、
こまみはじっとこらえてその場に留まりました。

殺人鬼(大バサミ)「待てっ!」

こあみ「とかあっ!」

やはり殺人鬼は、こあみを標的にしたようです。
しかしひょっとしたら自分も、姿を見られてしまったかもしれない。こまみもこっそり移動を始めます。

こまみ「ちー……」

こまみが物陰から物陰へ移る間、こあみの方は殺人鬼に追い詰められていました。

ブン、ガンッ!
こあみ「とぎゃ!?」

殺人鬼がハサミを器用に振り回し、頭を殴りつけてこあみを昏倒させます。

ドスッ!
こあみ「……っ!!」ビクンッ

そして仰向けになったところを、ハサミで一突き。
心臓を抉られ、こあみは声にならない声を漏らして絶命しました。

こまみ「……」

助けられるものなら助けたかったですが、絶対に不可能です。
自業自得だと突き放し、こまみはこあみの死骸から視線を逸らしました。

殺人鬼(大バサミ)「そこかっ!」

ちひゃー「くぅぅう!?」

狩りはまだまだ続きます。殺人鬼が次に発見したのは、ちひゃーでした。
長い髪が、物陰からはみ出していたのです。

ちひゃー「くぅ! くぅぅ!」

あふぅ「ナ、ナノォ!?」

あろうことか、ちひゃーはあふぅが隠れていた所へ逃げ込もうとしました。
助けてほしかったのか、それとも盾にしようとしたのか。いずれにしても、
極限の状況では下等生物の脆さと醜さが露わになります。

ドタン、バタン……
騒々しいことになっています。こまみはこの隙に、有効な手がないか模索しました。
エレベーターを呼ぼうかと思いましたが、棒でスイッチをつついても一向に反応しません。

こまみ「ちー!」

仕方なく展望台、そしてテラスの方に目をやります。新たに隠れる場所はないだろうか……。

ちひゃー「ぐぅぇぁあ!!」

ちょうどその時、苦鳴が上がりました。ちひゃーが仕留められたのです。

ちひゃー「ぐぅぎぎぎぎぎ……」ギリギリ

背中から刺され、閉じられたハサミが胴体を貫通しています。
そして殺人鬼はちひゃーを突き刺したまま、ハサミの刃を一気に開きました。

ズバンッ!!
ちひゃー「ぐぅぇ……」

胴体を横に真っ二つにされ、内臓を撒き散らしてちひゃーは血の海に沈みました。

殺人鬼(大バサミ)「次はおまえだ!」

あふぅ「ナニョォォオオ!?」

ちひゃーを狩る最中にも、殺人鬼はもう一方の獲物を視界から逃さなかったのです。
血を滴らせて襲いかかる刃を、あふぅは必死に避けようとします。

あふぅ「ナァァァアア!」ピョーン、ピョーン

あふぅならすぐにはやられないでしょうが、狩られれば次でおしまいです。
こまみは意を決して、この間に行動に出ました。

こまみ「ちー……!」
こあみ「」

こまみが必要としたのは、こあみの亡骸でした。渾身の力を込めてそれを持ち上げ、引きずるようにして運びます。
利用できるものは何でも利用しなくてはならない。こまみは心を鬼にしていました。

こまみ「ちー……」ズルズル

こまみが向かった先は、テラスでした。外側には落下防止の柵が並べてありますが、
ゲームで一部破損したらしく、ひしゃげた所からすり抜けることが可能になっていました。

ビュオオオ……
風が吹きつけます。50メートルのこの高さから落ちれば、即死です。
こまみは呼吸を整えました。目の粗い一策でしたが、少しでも時間が稼げそうなら試す価値はあります。

こまみ「ちいっ!」ポイッ
こあみ「」ヒューン

運んできたこあみの亡骸を、こまみはテラスの隙間から投げ落としました。
そう長くもない間の後、地上でべしゃっと音がして、血の染みが拡がりました。

あふぅ「ナビャァァァアアアアアアアア!!」

それから機関室の奥で、絶叫が轟きました。あふぅがついに殺人鬼の手にかかったようです。

殺人鬼(大バサミ)「手こずらせやがって」

あふぅ「ナ……ノ……」

あふぅの体は、ズタズタでした。突きの攻撃がなかなか当たらないので、
殺人鬼は刃で執拗に切りつけたのです。

ドスッ!!
あふぅ「ビャ……」ビクンッ

とどめが刺されます。これで四匹。殺人鬼はすぐに最後の一匹も探そうとします。
その時――、

「ぢーーーーーーーーっ!!」

謎の悲鳴が聞こえてきました。それから、柵を叩くような音。
何かあったのか。殺人鬼は、声がしたテラスの方へ向かいます。

殺人鬼(大バサミ)「……?」

誰もいません。ひょっとしてと思い、殺人鬼は柵から身を乗り出して地上を覗きました。

殺人鬼(大バサミ)「……自殺か」

地上では、落下したぷちの肉片が、血とともに飛び散っていたのです。
柵は壊れている箇所があり、ぷちのサイズならすり抜けられそうでした。

殺人鬼(大バサミ)「クリアーだ」

勝ち逃げならぬ負け逃げされてしまったような気分でしたが、殺人鬼はゲーム終了を実感しました。
階段を降りて、参加者の準備室へと戻ろうとします。

カンカンカンカン……
しかし途中、殺人鬼は妙なことに気づきました。
確かゲームが終わったのなら、そのアナウンスが鳴るはずです。
しかしスピーカーは何も告げてこない。ぷち達は本当に全滅したのか?

殺人鬼(大バサミ)「まさか」

きびすを返して階段を昇り、殺人鬼は再びテラスに向かいました。
そして現場を、もう一度よく観察します。

殺人鬼(大バサミ)「おかしい!」

不自然な血の染みが、床にこびり付いているのです。まるで死体を引きずった跡のような……。
今度は機関室へと戻り、殺人鬼は自分が殺したぷち達を確認します。
するとどうでしょう、あの双子のぷちの死体が消えていたのです。

殺人鬼(大バサミ)「やってくれたな、どこだ!!」

声を荒げ、殺人鬼は乱暴に生き残りを探し始めました。
先ほど声がした方、テラスから展望台へと走って行きます。

こまみ「ちー……」

一方のこまみは、機関室に隠れ直していました。展望台は行き止まりで逃げ場がありません。

こまみ「……」

後は時間との勝負です。毎回毎回、この間が一番長く感じられます。
また殺人鬼が戻ってきても、こまみはじっと耐えていました。


『制限時間10分を経過しました! ゲーム終了です!』

やがて福音が鳴り響きます。殺人鬼にとっては、残念な宣告ですが。

殺人鬼(大バサミ)「なんてことだ……」

殺人鬼が去っても、すぐに係員達がやってきます。こまみは次なる恐怖の予感に、涙しました。

こまみ「ちー、ちー……」シクシク

しかも三回も生き残ったとあっては、さすがに扱いも変わるようです。

「悪運の強い奴ですね」

「もう並の参加者じゃ、狩れないかもしれないな」

「ベテランさんのターンに、回しましょうか」

「そうしよう。次の出番は……最後になるな」



――陽が落ちました。
夜が訪れた遊園地では、次々とアトラクションが稼働停止してゆきます。

「本日のクロックタワー・ぷちどるハントは、次が最後となります」

「今度のお客様は特別会員ですね。もう何回もこのゲームをプレイされています」

「ほら、行ってこい。これを生き延びたら、今日はもう大丈夫だぞ」

こまみ「ぢー……」


『準備の方はよろしいでしょうか?』

殺人鬼(チェーンソー)「……早く殺らせてください」ヴイイイイン


――クロックタワー・ぷちどるハント4に続く

  • 最終更新:2014-02-20 15:05:19

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