クロックタワー・ぷちどるハント4

――前回の続き

一難去って、また一難。こまみが四度目となる死のゲームに参加させられます。


※クロックタワー・ぷちどるハント
予約制アトラクション。大人気につき、半年待ち。
タイプ別の殺人鬼を選択し、それに成り切ってぷちどるを狩ってゆく。
制限時間は10分。狩りの対象となるぷちは、全部で五匹。

あふぅ 生存確率9.6%
ちひゃー 生存確率1.2%
やよ 生存確率0%
こあみ 生存確率3.4%
こまみ 生存確率3.6%

↑は、一度のゲームにおける数字。ぷちが続けて生き残れる確率は極微。
やよだけは、生き延びたことがない。100%殺される。


――開始前。獲物用のぷち達が、控室に集っています。

こまみ「ぢーっ! ぢーっ!」

クウ? トカー、ウッウー?

毎度の如くこまみが、事情を知らない他のぷち達に説明しようとしています。
今回も伝え切れないのかと思われましたが――、

あふぅ「ナノ、ナノォ!?」

話が通じたのは、意外にもあふぅでした。
実はこのあふぅ、一つ前のゲームから生還したぷちなのです。

こまみ「ぢっ!? ぢーぢー!!」

自分と同じように、何度も出演させられることになってしまったのです。
こまみはあふぅに、みんなに教えるよう促しました。

あふぅ「ナノナノ!」 こまみ「ぢーっ!」

ちひゃー「くぅう!?」 こあみ「とかぁ!?」 やよ「うぅ~!?」

私達は恐ろしい目に遭ってきた、人間が私達を殺そうとしてきたんだ。
これまでの、そしてこれから始まる狩りについて、二匹は一緒に説明しました。
甲斐あってか、ちひゃー達もなんとなくただ事ではない様子を察してきます。

「おまえら、出番だぞ」ガチャ

係員が、自分達を控室から追い出しました。
一日中、狩りの舞台に使われた時計塔の内部は、血の臭いが生々しく残っています。
嗅覚にも優れるやよは、こまみ達の話が嘘ではないと理解しました。

やよ「うぅ~!? うっううっう~!」ζil ゚o゚)ζ

あふぅ「ナノォ!」 こまみ「ちーーーっ!」

時間が来たら、殺人鬼が現れて追いかけてくる。今のうちに上まで逃げろ。
開始を待たず、二匹は先導して階段を昇り出しました。
エレベーターは、今回は上に止まっているようで、待ってる暇もありません。

ちひゃー「くぅぅ!」 こあみ「とかー!」

ちひゃー達も続き、全員で階段を昇ってゆきます。
カンカンカンカン……

ビーーーーーー!!
途中、下階でブザーが鳴りました。いよいよ始まったのです。

こまみ「ちー……ちー……」

少しすれば、殺人鬼も上ってきます。その間に隠れなくてはなりません。
上階に到着したぷち達は、適した場所を探そうとしました。

ナノー、クウウ、トカー、ウッウー

ウィーン……
ふと、上階に着いたままだったエレベーターの扉が開く音がしました。そこには――、

殺人鬼(チェーンソー)「ぐへへへへへ」ヴイイイイン

こまみ「ち、ちーーーーーっ!?」

こまみは飛び上がりました。まだ下にいるはずの殺人鬼が、中にいたのです。

殺人鬼(チェーンソー)「サプライズだよ! 特例でな!」ドドドド

殺人鬼は、このアトラクションのお得意様のようでした。
ホッケーマスクを被り、両手で電動ノコギリを抱えています。

殺人鬼(チェーンソー)「うらあああああああああ!!」ブオッ

あふぅ「ナ、ビャァァァァアアアアアア!!」バリバリバリ

不意を突かれたあふぅが、チェーンソーの餌食になりました。
顔面を割かれ、血しぶきを上げて床に崩れます。

こまみ「ぢ、ぢぃぃいいいい!?!?」

一度は生き延びたあふぅが、あっけなくやられてしまったのです。
死ぬ時はそんなもんです。こまみは震え上がりました。

ちひゃー「くぅぅぅうう!!」 こあみ「とかあぁぁぁぁ!!」

半泣きで逃げ惑うぷち達を、殺人鬼が追いかけます。

殺人鬼(チェーンソー)「うらぁ!!」ゲシッ
やよ「ぅびぃっ!!」Σ ζ*T0゚)ζ ドコオッ

放った蹴りが命中し、やよが倒れ込みます。殺人鬼はさらに足で踏みつけ、やよを押さえました。

殺人鬼(チェーンソー)「解体ショーといくぜ!」ヴイイイイン

ノコギリの刃が、乱暴にやよの腹を切り裂いてゆきます。

やよ「ぅぅううぅぅびぃゃぁぁっぁ!!」::ζ*lI。Q。)ζ:: ブチュチュチュ

血と、何やら黄色い液体が飛び散りました。こぼれ出した大腸も、ブツ切りにされています。

やよ「うぇうぁっぇぅぅぁああああ!!」::ζ*l゚Q。)ζ:: ∞∞;;.;∞;;.;∞;. ブブシュー

こまみ「ぢーーーーーっ!!」

とても正視できません。できることは、せいぜい犠牲を無駄にしないぐらいです。
こまみはこの隙に、一階へ下りるよう呼びかけました。

ちひゃー「くぅぅぅうう!」 こあみ「とかーーっ!」

競うように階段を降りてゆきます。こまみはエレベーターを動かしたかったのですが、
近くに殺人鬼がいるのであきらめました。スイッチを押す棒だけは拾ってあります。

こまみ「ぢー……」カンカン

やはり、全員生還することは不可能のようです。
そして生きて還っても、また次のゲームが待っている。こまみは、呪われた身を嘆きました。

こまみ「ちー!」

一階まで下りてきたこまみは、緊急避難用にエレベーターを呼ぶことにしました。
今回は動くようです。音が鳴り、昇降機が起動します。

こあみ「とか、とか!」

隠れていたこあみが、上を指さします。殺人鬼が階段を降りてくるのです。
足音に加え、時々あの電動ノコギリの作動音が響きます。

こまみ「ちー、ちー!」

祈っても、エレベーターはすぐには来てくれません。そしてついに、殺人鬼が迫ってきました。

殺人鬼(チェーンソー)「うらあああああああああ!!」ドドドド

ちひゃー「くぅぅうううううう!?」

真っ先に見つかったのはちひゃーでした。階段から駆け下りた殺人鬼が、一気に距離を詰めます。

こあみ「と、とかぁ!」 こまみ「ちー!」

どうしようもありません。ここでも仲間を身代りにして逃げるしかないのです。

ウィーン……
待望のエレベーターが着きました。階段を使わないのであれば、これで逃げるしかないですが。

こあみ「とかぁ!?」 こまみ「……!」

やよ「」ζ*;゚p,.u ,. , .。 っ,.∞,.∞, u. ζ,.∞,.,. ,.

こあみが驚き、こまみは絶句しました。殺人鬼が演出したのでしょう、
エレベーターの中には体も内臓も細かくバラバラにされたやよが、ぶちまけられていたのです。

こまみ「ぢー!」 こあみ「とかぁ!」

血と肉片まみれの部屋になど入りたくありません。
こあみはエレベーターに乗ることを拒否し、再び階段を昇って逃げようとしました。

こあみ「とかー!」カンカン

こまみ「ちー!?」

残されたこまみは迷いましたが、決意してエレベーターに乗り込みました。
スイッチを押して上階まで移動します。

ちひゃー「ぐがぁぁぁあああっあああああ!!」

ちょうどのタイミングで、ちひゃーが仕留められたようです。
殺人鬼はチェーンソーの刃をちひゃーに押し当て、一気に両断しました。

ちひゃー「ぐぅひぃぇあっ……」ズババババ

綺麗に首を切断、とはいきません。顔面から胴体にかけてちひゃーは切り裂かれました。

こまみ「ぢー、ぢーっ!」

次は自分達です。早く上階まで逃げて隠れなければなりません。

ウィーン……
上手いこと昇り降りだけを繰り返せば、逃げられそうです。
そこまで殺人鬼も甘くないかもしれませんが、こまみはボタンを押し続けました。

しかし殺人鬼は、見かけによらず俊敏でした。

殺人鬼(チェーンソー)「待ってたぜ、うらああああ!!」ドドドド

こまみ「ぢーーーーっ!?」

上階に着き、エレベーターの戸が一度開くと、殺人鬼がこちらへ突進してきたのです。
殺人鬼は階段を素早く昇り、先回りしていたのでした。

こまみ「ぢっ!」ダッ

ドアの開閉が間に合いません。こまみは思い切って、外へ飛び出しました。
正面から殺人鬼の股下をくぐり、すり抜けたのです。

殺人鬼(チェーンソー)「の野郎!」ブオンッ

こまみ「ぢーーーっ!」

まともに追いかけっこをすれば、すぐに捕まってしまうでしょう。
こまみは殺人鬼の足元をちょこまかと動き、翻弄しようとしました。

殺人鬼(チェーンソー)「甘いっ!」ドチクショウガッ

こまみ「ぢい゛っ!!」ドゴオッ

しかし蹴りをもらってしまいます。ボールのようにこまみの体が跳ね飛ばされました。

ガシャーン!!
こまみ「ぢ、いっ……!」
こあみ「とかあ!?」

こまみが蹴り飛ばされた先には、こあみが隠れていました。
なんとか逃げ延びていたようですが、じりじり詰みに近づいています。

殺人鬼(チェーンソー)「二匹まとめて死にたいかっ!」ドドドド

こあみ「とかああああっ!!」

殺人鬼が突っ込んできます。こあみがその場から離れますが、こまみはすぐには動けません。

こまみ「ぢぃっ!」ゴロン

それでも転がるように体をひねり、こまみはノコギリの刃を避けてゆきます。

殺人鬼(チェーンソー)「くっ……!」

殺人鬼の攻撃が鈍くなっています。ごちゃごちゃしている場所では武器を存分に振り回せず、
また参加客である以上、施設や備品を大きく破壊してはならないからです。

こまみ「ちー、ちー……!」

それでもこのままではやられてしまいます。こまみは這うように机の下から抜け出ました。

こまみ「ぢーっ!」

すぐ後ろに、ヴイインという音が迫っています。こまみは振り返らずに、階段まで走りました。
あの武器では階段を降りながら攻撃するのは難しいはずです。

こあみ「とかああああっ!?」

殺人鬼は、標的を変えたようです。階段に向かう前に、上階に残っているぷちを始末するつもりです。
またも見つかったこあみが、追いかけ回されます。

こあみ「とか、とかああああっ!!」

こまみ「ぢー……!」

こあみ「とぎゃあああああああああああ!!」

助けを求める叫び声、そして最期の絶叫が聞こえても、こまみはひたすら階段を下りて行きました。
途中、上から血の雨とこあみの肉片が降ってきましたが、立ち止まっていられません。

こまみ「……っぢー!」カンカン

殺人鬼(チェーンソー)「うらあああああああああ!!」ヴイイイイン

けたたましい音を立てて、殺人鬼も階段を駆け下りてきます。
そろそろ制限時間も残り少ないので、ラストスパートをかけているのでしょう。

こまみ「ちー……」

一階に着き、こまみは物陰に隠れました。ここからはひたすら我慢です。
息が上がっていましたが、呼吸を抑えて極力気配を悟られないようにします。

殺人鬼(チェーンソー)「そこだなっ!」

こまみ「ぢっ!?」

殺人鬼のフェイントだったのですが、こまみは思わず声を漏らしてしまいました。
場所を突き止めた殺人鬼が、チェーンソーを鳴らして迫ってきます。

殺人鬼(チェーンソー)「うらうらうらあああああ!!」ヴイイイイン

こまみ「ちーーーーーーっ!!」ダッ

最後の鬼ごっこです。こまみは残された力のすべてを振り絞って、走りました。
階段を昇れば、あっという間に捕まるでしょう。一階を逃げ回ります。

殺人鬼(チェーンソー)「待てええええぇぇ!!」ドドドド

こまみ「ちーっ、ちーーーーっ!!」ダダダダ

何度もノコギリの刃が近くをかすめますが、間一髪でこまみは避け切っていました。
走り、転がり、蹴りにも注意しながら、動き続けます。

『――制限時間10分を経過しました! ゲーム終了です!』

そしてついに、逃げおおせることができたのです。
あと一歩まで追い込みながら獲物を逃がした殺人鬼は、地団駄踏んで悔しがりました。

殺人鬼(チェーンソー)「情けねえ……」

こまみ「ちー……」

一方のこまみは、これで四度目の生還です。奇跡と言えますが、しかし嬉しくありませんでした。

「本当に生き延びたぞ、こいつ。さすがに凄いな」

「もう閉園時間になるからな。今日はこれで終わりだから、安心しろ」

係員の台詞は嘘ではないのですが、地獄は明日以降も続くことになっています。
絶望の淵でこまみは、泣き続けていました。

こまみ「ぢー……」グスグス



――翌日。

「本日は、お客様感謝デーです。当アトラクションでも、特別企画を行ないたいと思います」

「クロックタワー・ぷちどるハントスペシャルですね。通常、狩られるぷち達は五匹までですが、
この企画では十倍で五〇匹のぷちが、一斉に登場します」

「そして参加者の方も、四種類の殺人鬼が総出演することになっています」


『準備の方はよろしいでしょうか?』

殺人鬼(ハンマー)「楽しみです」ブーン、ブーン

殺人鬼(硫酸)「殺戮数でトップを目指します」シュコー

殺人鬼(大バサミ)「がんばります」チョキーン、チョキーン

殺人鬼(チェーンソー)「……獲物は渡しません」ヴイイイイン

『同士討ちだけは、気をつけてください』


あふぅ「ナノ、ナノ!」「はに……むにゃ」「zzzzz」
ちひゃー「くぅ?」「くくくくぅ~♪」「くぅぁ……」
やよ「うっうー」「うぅ?」「うっうー(低音)」
こあみ「とか!」「とかとか!」「にーちゃ?」
こまみ「ちー!」「ちーちー!」「ちぃ?」

「さて、何匹生き残れるのか……」

「五〇匹もいるからな。今回は心細くないと思うぞ?」

こまみ(生還者)「ちー……」


――クロックタワー・ぷちどるハント5に続く


  • 最終更新:2014-02-20 15:05:53

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