七害獣の宝船ツアー

・宝船(たからぶね)
七福神が乗る宝物を積み込んだ帆船。Wikiより

P「――というわけで、アマーゾンらしき秘境を、船で探検する企画が起ち上がったぞ。
リポーターは世間でも大人気の、おまえ達七匹のぷちどるだ」

「ぽぇーっ!」「ナノ!」「くぅっ!」「うっうー!」「もっ!」「とかー!」「ちー!」

P「名付けて、ぷちどる宝船ツアー。お宝を探して、見つけたらそれを船に載せて帰ってこい。
撮影班も、ボートで後ろからついて行くぞ」

プイー、アフー、クウー、ウウー、モッ、トカー、チー

律子「……七福神、と呼ぶわけにはいきませんね。あいつらじゃ」

P「福どころか災いの申し子だからな。七害獣だよ」

ゆきぽ、あふぅ、ちひゃー、やよ、いお、こあみ、こまみ。
この七匹が今回、始末されることになった害獣達です。
はるかさん、たかにゃ、ちびき、まこちーは生存率高そうなので除外。ちっちゃん達は保護されてます。

やよ「うっう~♪」ζ*゚ヮ゚)ζ いお「もおっ♪」

やよいお探検隊の二匹は、早速はしゃいでいました。
その気になれば野生でも暮らしていけそうなぷちですが、秘境では通用するのかどうか……。

P「俺も楽しみにしてるぜ。おまえらの最期の姿をな」


――当日

木製の小型ボートが、大きな河を下って行きます。
アマーゾンらしきジャングルを進むのは、選抜されたぷちどる達です。

ゆきぽ「プァ~♪」ラッパ ちひゃー「くぅぅぅぅううう~♪」ボエー

大自然の中、誰得な演奏会です。船にはぷちしか乗っておらず、それぞれ気ままに過ごしています。
エンジンも積んでいないボートでしたが、河の流れが緩やかに運んでくれます。

あふぅ「zzzzz」 やよ「うっう~!」ζ*^3^)ζ レロレロ
いお「もぉぉ……」アツイナー こあみ「とかとか!」ムシャムシャ こまみ「ちー!」パクパク

ぷち達の後ろには、Pや撮影班が乗った船が随行していました。
こちらは大型の発動機とスクリューを搭載した立派なクルーザーです。

律子「誰も宝探しに意気込んでませんね。案の定、目的を忘れてるようで」

P「所詮、下等生物だしな。欲求を満たすことしか興味がないんだよ」

言う通り、どのぷちもまるで真剣に企画に向き合おうという意思を見せません。
そして失敗に終わっても、それは自分達の責任ではないと、ぷち達は思っています。
段取りを組むのも、乗り物その他を用意するのも、すべて人間がやっているのですから、
何もしなくても、適当に人間達が取り計らってくれると思っているのです。
世話をしてもらって当然という態度なのです。糞虫はどうしようもないですね。

P「まあ、これから嫌でも動いてもらうことになるけどな……」

Pの目線の先には、島がありました。いや、島というより中洲です。
河の中ほどに、陸地が浮かび上がっていました。

こあみ「とかー?」

このままでは、中洲にボートが乗り上げてしまいます。しかし数匹のぷちが気づいたものの、
何とかしようとはしません。船にはオールも積んであったのですが……。

ドシャーン!
そうこうしているうちに、ボートは中洲の端に突っ込み、動きを止めました。
一方、P達の船は、周囲を旋回しながら撮影を続けています。

P「さてこっからが、ぷちどる宝船ツアーの見どころだぞ。せいぜいがんばれよー」

スピーカーを使って、Pが進行を告げます。

「ぽえ~……」「zzz……ふぅ、はに……」「くぅにゃ?」

のろのろと、相変わらずぷち達はやる気なさそうです。
中洲には実のない木々がいくらか生えている他には、特別何もありません。
一通り見て回った後は、早くもぷち達は飽き始めていました。

「もぉ~……もっ、もっ!」「とか!」「ちー!」

お腹も空いています。ボートにあったわずかばかりの食糧は、行きがけに全部食べてしまっていました。

ブーン、ブーン……
ちひゃー「くぅぅう!? くぅ、くぅぅぅう!」

しかも、大量のブヨが寄ってきていました。最初に標的にされたのは、ちひゃーです。
全身を刺され、所々が赤く腫れ上がっています。悶えますが、手が短いので痒いところが掻けません。

ちひゃー「ぐぅぅぅうん!!」ゴロゴロ

ブーン、ブーン……
いお「もぉっ! キー!」バシュ、バシュ

いおがビームを連射して、ブヨを追い払います。まったく不快な環境です。

P「俺達はもう少し離れてよう。あいつの遠距離攻撃だけは厄介だからな」

助けにくる素振りを見せないPに、ぷち達は苛立ちを募らせます。空腹も耐えられなくなってきました。

「ぽぇ~……」「キー!」「ちー……」キュルルルル

しかしそこへ、意外なぷちが名乗りを上げました。

やよ「うっうー!」ζ*゚ヮ゚)ζ∩

やよです。河から魚を獲って、それを食べればいいと言っています。
魚獲りが上手なこのぷちの存在は、非常に頼もしいものでした。

「もっ♪」「ぽえ~♪」「くぅ、くっ!」

もっとも、魚を手に入れても火がなければ生で食すしかないのですが……。
寄生虫に対する抵抗力は、人間よりは強いのかもしれません。

やよ「うっう~!」ζ*^ー゚)ζ フンス

みんなの応援を受け、やよはやる気満々で河に足を踏み入れました。
魚が水面近くに浮かんできたところを、素早く捕まえるつもりです。

やよ「うっ!」シュバッ

早速、仕留めにかかりました。魚が打ち上げられます。ところが――、

ガブリ!
やよ「うっ!? うぅ~!!」Σζ*T0゚)ζ

はね上がった魚が身を翻し、やよの手に鋭い歯を突き立てたのです。

ピラニア「ガブガブ」

こうした河ではお馴染みの魚です。ピラニアは、実は臆病だと言われていますが、
襲われれば自衛のために噛みついてきます。

やよ「うぅぅぅぅ!」。゚ζ*>O<)ζ ゚。

振り払い、傷口を抑えます。あれだけ勇んでいたのに、やよはもう泣きが入っていました。
このへんが甘ったれです。痛い思いをしたくないのです。

「ぽえ、ぽえ!」「ナノ!」「くっ!」「もぉっ!」「とかー!」「ちっ!」

それでも名乗り出た以上、退くことは周りが許してくれません。
おまけに誰も、やよのケガを心配してはいません。さすがクズの集まりですね。

やよ「うぅ……」ζ*iTo゚)ζ

再度チャレンジです。しかし噛まれた傷は思いのほか深く、やよは手から出血していました。

やよ「う?」

水中に腰まで浸かって構えていると、途端に周囲にある魚影が濃くなってきました。
本能で危機を察してもよさそうでしたが、やよはチャンスだと思ってしまいます。

やよ「うぅ~~うっ!」ザブン

一歩踏み込みます。すると今度は、魚が向こうから襲いかかってきたのです。

ピラニア「「「「「ガブガブ!!」」」」」
やよ「う゛ぅぅ!? うぅう゛う゛!!」Σζ*Tq゚)ζ

河に溶け出した血の臭いに、ピラニアが興奮したようです。
やよの手に向かって突撃し、傷口から肉を噛み千切っていきます。

やよ「ぅぅぅううう!! ぅぇえええええ!!」::ζil Tp゚)ζ::

いお「も、もぉぉお!?」

やよが血まみれで、河から避難してきます。この有り様では、魚を食べるどころではありません。
そしてぷち達は、今の状況が思ったよりも危険だということをようやく悟りました。

P「まだまだこれからだぞー、しっかりしろー」

あふぅ「ナノ、ナノォ!! ナァァァアア!!」ダンダン

岸辺で、金髪毛虫がヒステリックに地団駄踏んで抗議します。
他のぷちからも、怒りの声が上がります。こんな企画やめろ、今すぐ助けに来い。

「ぽええ!!」「シャー!!」「キー!!」「とがー!!」「ぢー!!」

しかしPは、その様子に大あくびで応えました。さらに憤るぷち達でしたが……

あふぅ「ビャッァアアアアアアアアアア!?!?」

突如、悲鳴が混じりました。何事かと目をやると、水面に大きな波紋を残して、
そこにいたはずのあふぅが姿を消していたのです。

P「言い忘れてたけど、おまえらがいる場所は元々、ワニの寝床だからなー?」

どうやらあふぅは、水中に引きずり込まれたようです。

「ぽ、ぽぇえ!?」「くぅぅぅ!!」「もぉおお!?」「とかあああ!!」

水の中から、光る眼が見えたような気もしました。いよいよ危機的な状況です。

こあみ「とかああっ!! とかあああああ!!」

ワニにしてみれば、ぷち達は自分らのテリトリーに侵入して騒ぎ立てている迷惑な連中です。
聴覚が発達しているワニには、喚き声もストレスを感じさせる要因になります。

ザパアアアアアァンンン!!
こあみ「と、ぎゃああああああああああ!!」

目にも止まらぬ速さで陸地へ飛び出してきたワニの牙に、こあみが捕えられます。

こまみ「ぢー!? ち、ちーーー!!」 こあみ「ぁあああああああっ!!」ザブーン

手を伸ばす間もなく、ワニはこあみを咥えたまま水中へと戻っていきました。

いお「き、キー、キィィイイイイ!!」バシュッ

いおがビームを放ちますが、届きません。ジュッと音を立て、熱線が河に消えゆきます。

こまみ「ぢ、ぢぃ、ぢぃ……」フラリ

こまみが貧血っぽくふらついています。片割れを失ったショックもあるのでしょうが、
それだけではありませんでした。こまみの後ろに、それは張りついていたのです。

ヒル「「「「「チュウチュウ」」」」」
こまみ「ぢ、ぢぃぃぃい……!」

吸血ヒルが、いつの間にか吸い付いていたようです。ジャングルは危険がいっぱいです。

ゆきぽ「ぽぉ、ぽぇ、ぽぇえ!!」

災難の連続。もうこんな所には一秒たりとも長くはいられません。じっとしててもワニの餌食です。
ゆきぽはボートに乗って、脱出しようとしました。よほど慌てているのか、自分だけ逃げようとしています。

「くぅぅう!!」「もぉぉおっ!」「うぅ~~!!」「ち、ぃ……!」

もちろん、そうはいきません。全員がゆきぽの後に続きます。
火事場の糞力でボートを河へ押し出し、それに乗り込みました。

ゆきぽ「ぽぇ! ぽぇぇ!!」バシャバシャ

ゆきぽが必死にオールを漕ぎます。遠くからは、P達が高みの見物をしていました。

P「おー、お宝を手に入れたな。後は帰ってくるだけだからなー」

「ぽおおお!!」「シャー!!」「キー!!」

何を言ってる。宝なんてどこにあったんだ。ひどい目に遭わされただけだ。ぷちは怒りを露わにします。

P「そこのキモゴミツインテールも言ってただろ? 『経験こそが何よりの宝』ってな(アニメ参照)。
今日体験したことは、立派な財産だぞー(棒)」

いお「キィィ、キーーーーーーッ!!」ミョンミョン

もう我慢なりません。特大ビームのチャージを始めます。しかし――、

ドザァアアアアアアンンンン!!
「ぽええええっ!?」「くううううっ!?」「もおおおおっ!?」「うぅぅぅぅっ!?」「ちぃぃぃぃっ!?」

なんと、巨大なワニが体を起こし、ボートがひっくり返されてしまったのです。
ぷち達は残らず、河の中へと投げ出されました。

ワニ「グァフグァフ!!」
いお「もおおおおぎぎいいいぃぃぃ!!」

巨大な口に、いおが挟み込まれます。それからぐるりと水中へ。

いお「もぉっ、ぎっ!!……」
カッ、ドン!!
苦し紛れに、ビームを発射。しかしその先にいたのは、転覆したボートにしがみついたこまみでした。

こまみ「ぢっ!?……」バシュン

一瞬で、こまみは光の中にかき消えてしまいました。
戦艦いおは、あろうことか最後に仲間を吹き飛ばし、沈んでいきました。

ちひゃー「ぐぅあああああああっ!!」

続いて犠牲になったのは、ぷちの中でも特に水泳が苦手なちひゃーでした。
成す術なく、ワニの胃袋へと消えてゆきます。

ピラニア「「「「「ウヨウヨ」」」」」
ゆきぽ「ぽぉっ!? ぽぎっ、ぽぇえええっ!!」

問題はワニだけではありません。ピラニアも、ちゃっかり群れを成して戻ってきました。
ゆきぽがスコップを振り回して寄せ付けまいとしますが、数が多過ぎます。

やよ「う゛ぅぅぇぇぇええっ!!」~~゚゚从ζ*゚pT)ζo从゚゚~~ バシャバシャ

P「おー、いい画だ。もう少し近くで撮影しよう」

P達の船が近づいてきます。ゆきぽはオブオブと、手を振って助けを求めました。

ゆきぽ「ぽぇぇええ!! ぱぅぅうう!!」

ドコォォオンン!!
ゆきぽ「ぽぎぇぶぇっ!?!?」ドグチャッ!!

しかし船は止まらず、そのまま激突。船体がゆきぽの目玉を潰し、頭蓋と脳を砕きました。
肉片を貪るピラニア達の姿が、カメラに収められます。

ゆきぽ「」
P「よーし、方向転換!」

やよ「う゛ぅぅぅぅ!? ぇぅぅぅううう!!」Σζli 。O`)ζ

ここで水流に引き込まれたやよの髪が、船のスクリューに絡まりました。
けれどもそれで止まってしまうほど刃は小さくなく、回転を続けます。

やよ「う゛ぅ!? ぇう!? ぅぅぁぁあああああっ!!」ζ*lI。Q。)ζ グルグル

ギュイイイイン、ブチブチブチ、グシャグシャグシャ!!
やよ「う゛ゅぅえっ!!」从从ζ*,;"i从从∵;`':ζ从从

スクリューに髪を引き千切られながら巻き込まれ、やよはミンチと化しました。
掃除を担当するのは、やはりピラニア達です。

やよ「」プカプカ


アマーゾンの秘境に、夕陽が射しつつありました。

P「……オーケー、ここまで撮れればじゅうぶんだろ」

律子「事務所も平和になりますね」

選出された七害獣は全滅したのです。P達が笑みを浮かべます。

P「さ、お宝を持って帰還と行くか」

律子「お宝映像、ってことですね」

終わり


※七害獣(しちがいじゅう)
ゆきぽ、あふぅ、ちひゃー、やよ、いお、こあみ、こまみの七匹のぷちどる達を指す。
いおの代わりに、ちびきやたかにゃが入ることもある。
この七匹が乗った宝船の絵を枕の下に置いて寝ると、とんでもない悪夢を見る。


  • 最終更新:2014-07-06 20:35:39

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