屑双子に復讐を

「とかー」こあみです。
「ちー」こまみです。

こあみとこまみははいたずらが大好きなぷちどるです。今日も朝から事務所のドアに黒板消しを仕掛けていました。
二匹はいたずらを仕掛けたことも忘れてのんきに昼寝から目覚めたところです。

「こあみこまみ、ちょっと来い」

Pが双子をよんでいます。

「とかっ」「ちっ」

とてとてとてと双子はPの足元に向かいます。こあみとこまみはPのことが大好き。いつもいたずらの遊び相手になってくれるからです。
もっとも、有能なPが無能な双子に構うことは事務所にとっては損失でしたが。

「この黒板消しをドアの上においたのは、お前たちだな」

Pは双子に抑揚なく問いかけます。

「とかかかかw」「ちちちちちw」

どうやら双子も思い出したようで、憎たらしく二匹で笑っています。Pからいつもの優しい笑顔が消えていることに気づきません。

「そうか…」

Pは双子が犯人であることを確信しました。

「にーちゃ!」「にーちゃ!」

こあみとこまみはPの身体によじ登ってじゃれています。
双子にとってはいつものいたずらでした。いつもの…

「にーちゃ、にーっ!? どがっ゛っ゛っ゛!!」

Pは無言でこあみを床にたたきつけました。

「ちぃぃぃぃぃぃぃ」

こまみは起こったことが理解できません。やさしいPがぷちどるを殴った?こまみはパニックです。

「ちぃぃぃぃぃぃ!ちぃぃぃぃぃ!ちぃぃぃ…ぢっ!」

小さな脳みそでは理解する間もなく、こまみも床にたたきつけられて気絶しました。


こあみとこまみが眠っている間、事務所で何が起きたのでしょうか。
二匹のいたずらで事務所の誰かが傷ついた?しかし、黒板消しが落ちてきただけで怪我する人間がいるでしょうか。

実は双子が仕掛けた黒板消しはすぐに床に落ちてしまったのです。事務所の階段の踊り場に。
階段の上で黒板消しを踏めば、転げ落ちて大怪我は必至です。踊り場の暗さでだれにも気づかれなかったのも不運でした。
そして双子のいたずらの犠牲になったのは、貴音でした。

「では、行ってまいります」
「おう、気をつけていって来い」

その日、Pはいつも通り貴音を送り出しました。貴音の悲鳴を聞いたのは、そのすぐ後のことでした。

複数個所の骨折、脱臼、全治6か月、リハビリは長くて1年。それが病院での診断結果でした。
アイドルとしてようやく売れ出した矢先での1年以上にわたる活動休止、これが意味することの重さに打ちのめされるP。
そしてもうろうとした意識の中で事務所に戻り、階段に落ちている黒板消しを発見してこあみとこまみを呼びつけたのでした。


「とがぁ…」「ぢぃぃ…」

双子が目を覚ましました。しかし、体が動きません。
二匹は1本の紐の両端に縛られて屋上の物干しざおにつるされていました。紐が中央でひっかけられているため、こあみとこまみは顔を見合わせています。

「ちぃ!ちぃ!」

こまみが体を揺らして抜け出そうとします。

「とがぁぁぁぁぁぁ…… ……!……!」

こあみが苦しみ始めました。紐が首を回っているため、こまみのあがきに引っ張られた紐がこあみの首を絞めていきます。

「………!!! ………!!!」
「ちぃぃぃぃぃぃぃ!ちぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

こあみの顔が蒼くなっていきます。あわてるこまみ。ふと辺りをみると、すぐそこにPがいます。

「に゛ーち゛ゃぁぁぁ、に゛ーち゛ゃぁぁぁぁ」

必死に助けを求めるこまみですが、Pは動きません。

「とはっ…」

どうやらこあみが落ちたようです。こあみの下半身に糞尿が垂れます。

「屑双子の片割れがもう片方を殺したか、いい気味だっていうのはこういう時に使うセリフだな」

Pは無表情でつぶやきます。

「今までさんざん周りにかけてきた迷惑の分、たっぷり苦しんで無残にこの世を去っていくんだな」

実をいうと、Pはこれまで一度もこあみとこまみをかわいいと思ったことがありませんでした。
第一に事務所の仕事の邪魔しかしない害獣だったから。第二に人間に擬態した成体のくせにあまりに無能で腹が立ったから。そして何より、異様にでかい目の付いた大きすぎる頭に小さな手足が付いたその姿が気持ち悪かったから。
それでもこれまで屑双子の相手をしてこられたのは、貴音のためになると思っていたからです。ぷちどるは貴音の心の支えのようでしたから。

「散々面倒見てやったのに、恩をあだで返しやがって。それもアイドルに」

Pはとっくに二匹を殺すつもりです。貴音が退院後に療養で実家へ帰ることは決まっていました。飼い主のいなくなるこあみとこまみを好んで飼うような人間は他にはいません。

「お前たちは行く当てがない。かといってこんなろくでなしを捨てるのは人様に迷惑をかける。だからここで終わりにする。ゆっくりとこあみの後を追わせてやるよ」

「ぢぃぃぃぃ… ぢぃぃぃ… ぢぃぃ びぇぇぇぇぇぇぇ!!! びぇぇぇぇぇ!!!!」

やさしかったはずのPから発せられる言葉に、こまみは震えてついに泣き出してしまいました。
Pはナイフを取り出しました。ゆっくりとこまみに近づいていきます。

「ぢぃぃぃぃ ぢぃぃ ちぃぃ ちぃ… 」

こまみは以前、刑事ドラマでナイフで刺されて人が死ぬのを見たことがありました。自分もああなってしまう… 恐怖に支配されたこまみはじっと目をつぶって震えています。

ザシュッ

血しぶきが上がります。こまみは死の瞬間に耐えようとします。ところが思っていたような死は来ません。代わりに訪れたのは死よりもつらい激痛でした。

「ぢぃ゛ぃ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」

あまりの痛さに目を開けたこまみ。見えたのは地面に落ちた自分の右脚でした。

「ぢぃぃぃ!、ぢびぃぁぁぁぁ!!」

「なくなっちゃったねー、こまみの右脚。痛いかなー?」

Pの問いかけに答える余裕すらこまみにはありませんでした。しかしPは無情な宣告を続けます。

「でも次は左脚がなくなるからねー、その次は右手かな、左手かな? 言っただろ、”ゆっくりと”こあみの後を追わせてやるよ」

「にーぢゃぁぁぁぁぁ!!!!!、にーぢゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「次にーちゃって言ったら髪の毛を燃やすから」

「ぢぃぃぁ゛ぁ゛ぁ゛!! ぢぃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ!!! びぃぇぇぇぇぇ!!!!!!!  ……………」

ドラマのようにあっさり死ぬこともできず、こまみの苦しみは永遠のようでした。
Pはじっくりと半日かけてこまみをあの世に送りました。

「まだやることが残っていたな…」

その後、Pは貴音の飼っていたもう一匹のぷちを始末しに行ったそうです。

終わり

  • 最終更新:2014-07-18 19:41:31

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