親の行い、子に災い
ある日のこと
春香「可愛いねー」
真美「ホントにクリソツですなー」
小鳥「でも、どうやって生まれたのかしらね」
ここはアイドル事務所765プロ、今日はちょっと騒がしいです。というのも、
ベビみうらさん「アラー///」
みうらさん「あらー」ナデナデ
神出鬼没なみうらさんが手のひらサイズのみうらさんを抱えて事務所にやってきました。
生態が謎に包まれているぷちどる故にどこから現れたのかは分かりませんが、事務所の一同はみうらさんの子どもとして受け入れました。
春香「ほーら、ベビみうらさん、メインヒロインの天海春香ですよー」
千早「ベビみうらさんって…春香のネーミングセンスは相変わらずね…」
美希「千早さんのゴンザレスよりはいいと思うの」
千早「くっ…」
貴音「この子も音に反応してワープしてしまうのでは?」
響「はぐれたりしないか不安だぞ…」
ちっちゃん「めっ!」
一連の話を聞いていたちっちゃんにアイデアがあるようです。ぷちの言葉が分かる響に説明をします。
響「そうか、子守バンドか!それならはぐれる心配もないさー」
貴音「はて、子守ばんどとは…?」
響「お母さんが子どもをおんぶして固定するための紐さー。昔の言い方だとおんぶ紐って言うぞ!」
小鳥(先におんぶ紐って言わなくて良かった…)
千早「それなら幾分か安心できるわね。でも、みうらさんのサイズに合う子守バンドなんてあるのかしら?」
ちっちゃん「めっ!もー!」
響「ちっちゃんが出産祝いに作ってくれるそうだぞ!」
みうらさん「あらあらー」ペコリ
ベビみうらさん「アラー///」
真美「せっかくだし他の皆が帰ってきたらちょっとしたパーティー開こうよ!」
貴音「皆忙しい故あまり時間は取れないでしょうが、ささやかながらお祝いしたいものです」
春香「私クッキー焼いてきてるから、それをおやつにお茶でもしよっか!」
ワイワイ ガヤガヤ
皆が仲良くベビみうらさんのお祝いを企てている頃、事務所の片隅では…
ベビゆきぽ「ポェーン!!;;」
ゆきぽ「ぷぃー…」ナデナデ
同じく子どもを抱えたぷちどる、ゆきぽが段ボール箱の中にいました。
実はベビみうらさんが現れる2日前、ゆきぽも子どもを生んでいたのです。
………
……
…
2日前
ベビゆきぽ『ポェー///』
ゆきぽ『ぽわぁー///』ニヘラッ
ゆきぽは我が子の誕生を喜びました。何て可愛い赤ちゃんなのだろうと。
その喜びをアピールするべく、ベビゆきぽを抱きかかえてP達の元へ歩み寄っていきました。赤ちゃんもゆきぽ自身も可愛がってもらい、ご飯を貰えることを信じて。
しかし、現実は残酷でした。
P『おい…それはお前の子どもか?』
ゆきぽ『ぽえー♪』コクン
ベビゆきぽ『ポュゥ~///』
Pにも抱っこさせてあげようとベビゆきぽを差し出します。しかし…
P『うわっ、こっちに近づけるなよ、気持ち悪い』
ゆきぽ『…ぽぇ?』
律子『害獣が2匹に増えるとか、頭が痛くなるわ…』
小鳥『人間に害を及ぼしながら繁殖するとか、ゴキブリみたいですね…』
ゆきぽ『ぱ、ぱぅぅ…ぽえぇ…;;』
律子『事務所に損害ばかり与えるアンタの子どもの世話なんて一切する気無いわよ。親なら自分で育てなさい』
小鳥『餌は今まで通りあなた1匹分だけよ。それ以上はあげないわ』
ゆきぽ『ぽえっ!?』
P『一度は拾ってしまった好みで一応置いてやっているんだ。殺さないだけマシだと思え。ただ、今度何かやらかしたら、お前もお前の子どももタダじゃ済まないからな』
律子『分かったらあっちに行きなさい。このタヌキモグラ』
ゆきぽ『ぁぅ…ぽえぇぇぇぇぇん!;;』ダッ
ベビゆきぽ『ポェッ!?ポォー?』
その後、ベビゆきぽを連れて他のアイドル達の元に寄っていったゆきぽでしたが、食べ物を恵んでもらえず罵詈雑言を浴びるだけでした。
ベビゆきぽ『パゥー…;;』
ゆきぽ『ぽぇぇ…;;』
約束通り1匹分の餌だけ貰っていましたが、それだけでは足りず親子揃って衰弱し始め、今に至ります。
これがみうらさんとゆきぽの格差なのです。ベビゆきぽ自身はまだ事務所に損害を与えておりませんが、ゆきぽの日頃の破壊活動のせいでベビゆきぽまで執拗に忌み嫌われてしまっているのです。
………
……
…
ベビみうらさんがやってきた日の夕方
Pや律子、アイドル達が事務所に戻ってきました。
ゆきぽ親子には目もくれず、みうらさん親子を祝福しています。
春香が作ってきたクッキーと雪歩が淹れたお茶でプチパーティーをする事務所の面々。みうらさん親子を囲んで和やかなムードが漂っています。
ベビゆきぽ「プィープィー;;」
ゆきぽ「ぽぇ…ぽっ!」
そんな中、まともに食事を取れてないゆきぽはクッキーやお茶の匂いを敏感に感じ取ってしまいました。
もうなりふり構ってる余裕はありません。
ゆきぽはベビゆきぽを抱え、パーティーをするP達の元へ駆け寄っていきました。
ゆきぽ「ぽえっ!ぽぉー!」
P「…チッ」
律子「はぁ…」
ゆきぽ「ぽえぇぇ!ぽぉーぽぇ!ぽぉー!」プンスカ
後には引けないゆきぽ、必死に訴えかけます。
ベビみうらさん「ア、アラ…;;」ビクッ
ゆきぽの気迫に怯えたベビみうらさんが泣いてしまいました。
みうらさん「あ、あらー…」ナデナデ
それでもゆきぽは熱弁します。"その子よりもゆきぽの赤ちゃんの方が可愛い。だからゆきぽとゆきぽの赤ちゃんに食べさせて"と。
響「ふざけるな!」
ゆきぽ「ぽえっ!?」
ぷちの言葉が分かる響がいち早く反応しました。
P「律子、ゆきぽは何だって?」
律子「…呆れて物も言えないですね」
そうはいいつつも、興奮してる響やショックな表情を浮かべるやよいの代わりに律子は先ほどのゆきぽの発言を皆に向けて訳しました。
伊織「自惚れるのも大概にしなさいよ!迷惑しかかけない分際で!」
亜美「事務所だけでなく場の空気まで壊すとかホント最悪…」
律子「お祝いの席でそんな言葉、聞きたくなかったわ」
P「一昨日言ったよな?今度何かやらかしたらタダじゃ済まさないって。俺達の仲間への侮辱も立派な咎だ。覚悟はできてるんだろうな?」
ゆきぽ「ぷぃぃ…ぷぃぃ…;;」
ベビゆきぽ「ポェーン!!;;」
P「さて、仕切り直しといこうか。俺はちょっと席を外すから後は頼んだぞ」
ガシッ
ゆきぽ「ぽえぇっ!?」
ベビゆきぽ「プィー;;」
そう言ってPはゆきぽ親子を連れて事務所から出ていきました。
みうらさん「あらー…」
あずさ「大丈夫よ、みうらさん。気にすることないわ」
真「そうだよ!ほら、春香のクッキー美味しいよ!」
春香「そうだ!ちっちゃん、さっき言ってたアレ、もう作ったんだって?」
ちっちゃん「めっ!」
ちっちゃんが取り出したのは昼間話題に挙がってた子守バンドです。
やよい「あっ、これウチでも使ってますー!」
雪歩「これでおんぶしてあげれば大丈夫そうですぅ」
あずさ「ちょっと付けてみるわね」
みうらさんの背中に子守バンドを付け、ベビみうらさんをおんぶさせます。
真「すごい!ピッタリじゃん!」
伊織「似合ってるわよ。にひひっ」
みうらさん「あらー///」
美希「確かに、でこちゃんには似合わなさそうなの」
伊織「余計なお世話よ!あとでこちゃん言うな!」
ベビみうらさん「アラー」ニコッ
こうして一悶着あったものの、事務所内は再び和やかなムードに包まれていました。
………
……
…
一方その頃事務所の外では
ゆきぽ「」
衰弱してる中、Pに暴行を加えられてゆきぽは息を引き取りました。
ベビゆきぽ「ポェーン!!;;」
残されたベビゆきぽはPの左手で髪の毛をむしるように掴まれています。
空いてる右手でベビゆきぽの左頬を思いっきりつねるP。
ベビゆきぽ「プギギギ…」
P「痛いか?なあ?」
ベビゆきぽ「プィープィー!!;;」
P「お前が痛い思いをしてるのは全部お前の親のせいだ。お前の親が事務所に迷惑ばかりかけて嫌われてるから、お前も嫌われているんだ」
ベビゆきぽ「パゥー!!;;」
P「あの世でお前を生んだ馬鹿親を呪うんだな」
ゴキッ!
吐き捨てるように別れの言葉を言い、Pはベビゆきぽの首の骨をひと思いに折りました。
ベビゆきぽ「」
ベビゆきぽには何の罪もありません。それでも、ゆきぽという害獣の元に生まれてしまった以上、ベビゆきぽも害獣とみなされてしまったのでした。
親の行い、子に災い -Fin-
- 最終更新:2016-09-12 22:35:00