音無小鳥の発明ジェネレーション

「やったわ…ついに、ついに完成した…!」

765プロで働く音無小鳥が、同僚のPの家で歓喜の声を上げる。

「何が完成したんですか?音無さん」

炬燵に入って蜜柑の皮を剥きながら、Pが質問した。
「これですよ!」と言って、彼女はビニール袋に入った沢山の小銭を掲げ、説明を開始する。

「これは、やよちゃんが拾う度に、やよちゃんの内臓が左に捻れる小銭です!」

「本当ですか~?」

疑うPに対して、「使って見て下さい」と、彼女は小銭を差し出す。
受け取ったPは、やよの飼い主である四条貴音に電話を掛けて、やよを連れて来て貰った。
事情を聞いた四条貴音は、最初は渋っていたが、ラーメンデートを条件に最終的にはやよを貸してくれた。

チャリーン

「うっうー!」ダッ

床に小銭を落とすと、やよは勢い良く小銭に飛び付いた。すると

「うっううぅぅぅ!!?」

やよがお腹を押さえて、苦しそうに呻き出した。

「小銭一枚につき、効力は一回です。更に何処の内臓が捻れるかは、毎回ランダムです」

「暇つぶしに役立てて下さい」と言って、音無小鳥は炬燵で丸くなる。

「ありがとうございます。音無さん」ナデナデ

そんな彼女に向かって、Pは御礼を述べ頭を撫でてあげた。

次の日から、Pによる暇つぶしが始まった。
例の小銭を落とす度にやよは飛び付き、お腹を押さえて苦しそうに床をのたうち回った。

肺が捻れた時は、相当苦しかったのだろう。
両目が飛び出る程見開き、口からは大量の涎を垂れ流し、金切り声を上げて悶えていた。
胃が捻れた時は、直前に食べていた餌を口から吐き出した。

「ううぅぅぅ……」

やよはすっかり衰弱していた。
しかし、小銭を落とせば元気良く飛び付くのがやよという生き物であった。

「はい、どうぞ。プロデューサーさん」

小銭を使い切ったPに、音無小鳥が新しい小銭を渡す。

「ありがとうございます。……所で、この小銭の効果は?」

「これは、やよちゃんが拾う度に、全ての原因がやよちゃんになる小銭です」

Pは頭に『?』を浮かべた。
浮かべつつ、小銭を落とした。

「うっうー!」ダッ

やよが勢い良く飛び付いた。

「うっう~♪」ベロベロ

嬉しそうに小銭を舐めるやよ。
だが、何の変化も起きなかった。

「音無さん?」

「そ、そんなはずはありません!私の計算にミスは無いはずです!」

となると、考えられる事はただひとつ。

「小銭の効果が出ないのは、やよちゃんに原因があるかと…」

彼女の説明を聞いて、Pは溜め息を吐いた。
やよというこの生き物は暇つぶしにもならないのかと、呆れた為である。

バキッ
「うべ!?」

Pはやよを殴った。
秋月律子が寝坊して遅刻したのも、天海春香が良く転ぶのも、全てはやよに原因があると唐突に分かったからだ。

バキッ、ボカッ、ベゴッ

「うびゃあああ!!」

Pは、やよを殴り続けた。
やよの顔は痣だらけになり、瞼は膨れ上がって片目が塞がった。

グボッ
「うぐっ!!」

Pは腹に蹴りを入れて最後とした。
これ以降、小銭をやよが拾う度に、事務所や仕事で起きた様々なトラブルの原因がやよにあると発覚した。
その度に、Pから制裁を受けたやよの身体は、ズタボロとなった。

「ぅぁぁ……」グッタリ

毎日制裁を受けたやよは、部屋の片隅で仰向けに倒れていた。
虫の息だった。

「音無さん、新しい小銭を下さい」

「はい、どうぞ」ジャラ

そんなやよを横目に、Pと音無小鳥がやり取りをする。

「この小銭には、どういった効果が?」

「これは、やよちゃんが拾う度に、やよちゃんの下半身が内側から溶けていく小銭です」

成る程と頷き、Pは小銭を落とした。

「うっうー!」ガバッ

先程迄、ぐったりとしていたやよが起き上がり、小銭に飛び付く。

「う~?」

やよは下半身に違和感を感じ、自分の身体をジッと見詰めた。
下半身が身体の内側から少し溶けたのだろう。

数日後。
下半身が背骨だけになったやよが、床をはいずり回る姿がそこにあった。

「うー、うー…」ズルズル

「なんやかんや言っても、やよは暇つぶしに最高だな」


『音無小鳥の発明ジェネレーション』おわり


  • 最終更新:2014-02-20 17:16:18

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード